2023/03/29

奨学金で海外大学に留学できる?返済不要の給付型、貸与型の奨学金とは

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バークレーハウス編集部 BerkeleyHouse
東京・市ヶ谷にある語学スクール。IELTS公式テストセンターの運営のほか、IELTSやTOEFLの対策講座、英語や中国語をはじめとする40言語に対応した語学教育を提供。

海外の大学、大学院へ留学を検討するうえで、どうしても気になってくるのが費用ではないでしょうか。

国内に複数存在する留学支援機構では、海外留学を検討している学生や社会人に対してさまざまな種類の奨学金を用意しています。

しかし、制度や条件は一定ではないので、どの奨学金制度が適しているのかわからないという人も多いかと思います。

そこで今回は、海外留学のための奨学金制度の種類や条件を紹介したいと思います。

本記事で、自分にぴったりの奨学金制度を見つけて、できるだけコストを抑えた海外留学をしましょう。

目次

大学、大学院留学でも使える奨学金

国内には、留学をしたい人向けの奨学金機構が多数存在します。

そして、それぞれの奨学金機構のなかでも対象国の違い・対象となる海外の学校、年齢制限など、条件も奨学金額もさまざまです。

また、奨学金の種類も、返済不要の給付型と卒業後に返済が必要な貸与型、学費のみの支援と、生活費や渡航費まで支援してくれるものなどがあります。

自分が行きたい国や学校には、どの奨学金機構のどの制度が適しているのかを見極めるために、事前にしっかりリサーチをすることが大切です。

奨学金制度とは?

奨学金制度とは、経済的に進学が難しい環境の人でも学校に通う機会を得られるよう、金銭面をサポートしてくれる制度のことです。

この制度は国内の大学・大学院はもちろんのこと、奨学金機構によっては海外への留学でも利用することができます。

みなさんは海外留学と聞くと、日本の大学や大学院に行くよりも高額な費用がかかるイメージではないでしょうか。

学費はもちろんのこと、寮やホームステイ、アパートなどで生活する場合のそれぞれの家賃や現地の食費、交通費など、日本国内であればイメージしやすいコストが、海外では想像しにくいです。

そのため、海外留学は裕福ではないと無理だと、最初から諦めてしまう人も多いでしょう。

確かに、海外留学にはかなりの出費が掛かることは確かです。

しかし、経済的に修学が困難な学生に対して支給される奨学金が、海外留学にも適用されるとなれば、海外での進学も選択肢のひとつとして検討できるのではないでしょうか。

高額な費用がかかるからとすぐに諦めてしまわずに、自分の場合はどの奨学金を受けられるのかを調べ、制度を最大限活用すれば、海外留学の夢が叶うかもしれません。

給付型奨学金と貸与型奨学金の違い

奨学金には、給付型奨学金と貸与型奨学金があります。

給付型奨学金は、返済不要となっているため、卒業後に奨学金返済という返済義務を負う必要がありません。

貸与型奨学金は、その名の通り貸与です。

つまり、卒業後は借りている奨学金返済の義務を負います。

この貸与型奨学金の中でも、無利子で借りられるものと利子がつくものがあるので、申請をする際は注意が必要です。

また、一般的に、給付型奨学金は対象者枠が狭く、成績や家庭の収入上限などが厳しく設定されていることがほとんどですので、自分は条件を満たしているのかどうかをよくチェックしましょう。

幅広い奨学金制度

ひと口に奨学金制度といっても、そのタイプや特性はさまざまです。

国や地方自治体で運営されている公的な奨学金機構と、民間の奨学金機構の2つにわかれており、いずれの場合にも給付型・貸与型のどちらもが存在します。

さらに、日本国内だけではなく、海外の公的機関や学校自体からの奨学金が受けられることがあるため、入学したい学校や行きたい国が既に決まっている場合は、まずその場所に絞って調べてみると良いでしょう。

さらに、大学や大学院だけではなく、語学学校・専門学校・短期大学なども対象になる奨学金制度が存在します。

上記いずれかの留学を考えているのであれば、受けられる可能性のある留学制度はどのようなものが存在しているのかを把握しておくことが大切です。

奨学金の支援内容

奨学金には決まった額を一括支給、月額・年額支給、航空券代金や寮・ホームステイの滞在費用、生活費などの支援金を支給されるタイプなどさまざまです。

また、JASSOのように、大学や大学院に入学する前の準備段階として、現地で指定された語学研修を受けている期間も奨学金支給の対象になることもあります。

奨学金の対象者

奨学金支給の対象となるための条件として、それぞれの奨学金制度が掲げている基準には下記のようなものがあります。

  • 学業成績
  • 経済支援の必要性
  • 特定の研究分野においての成果や社会貢献が期待できるかどうか
  • 進学を希望する学校、国
  • その他(日本国内の在籍学校、居住地、年齢制限など)

学業成績は、返金義務のない給付型に対して、高めに設定されている傾向にあります。

また、自治体や地元の民間機構でおこなわれている奨学金制度の場合は、その自治体などに居住している人に限定していることもあるため、確認が必要です。

日本の奨学金制度

次に、日本国内の奨学金制度にはどのようなものがあるのかを紹介します。

トビタテ!留学JAPAN

公的な奨学金機構として「トビタテ!留学JAPAN」という官民協働海外留学支援制度があります。

これは、文部科学省により2014年から実施されており、官民共同でグローバルな人材を育成することを目的に作られました。

奨学金の財源は民間の寄附で賄われており、返済不要の給付型奨学金となっています。

また、大学生等を対象とする場合の毎月の奨学金は、シンガポールを除くアジア・大洋州・中南米・アフリカだと12万円、北米・シンガポール・欧州・中近東だと16万円となっており、その他留学準備金(15〜25万円)や授業料(30万円)なども支給されます。

なお、申請対象者は下記の通りとなります。

  • 年齢30歳以下
  • JASSOが実施する国内の奨学金「第二種奨学金」に掲げる家計基準を満たしていること
  • 留学先のビザを取得可能であること
  • 日本国籍を有する、または日本への永住が許可されていること
  • 在籍大学等で、卒業または学位取得を目的とした課程に在籍していること

上記以外にも、留学先でインターンシップをする予定の場合や、収入が奨学金額を超えないこと、過去に同制度の派遣留学生として採用されていないことなどが、条件として挙げられています。

日本学生支援機構(JASSO奨学金)

日本国内で奨学金を受ける際にもっとも有名なのが奨学金機構、日本学生支援機構(JASSO)も、海外留学支援制度という形で、給付型の支援をしています。

この留学支援制度は、独立行政法人日本学生支援機構がおこなっているもので、家庭の所得金額の制限があったり、IELTSやTOEFLの基準が決められていたりと諸条件がたくさんありますが、月額59,000円〜118,000円ほどの支援が受けられ、実費での授業料の支給も受けられるのが魅力です。
※上記の支給金額は2022年度実績のものであり、地域によっても異なります。

JASSOの給付型支援である学部学位取得型は、2022年度は45名が受給対象となっています。

その他にもJASSOでは、有利子貸与型の留学支援のための奨学金も存在し、こちらは短期留学の人でも対象となります。

以下、JASSOの給付型支援(学部学位取得型)の申請対象者となるための要件となります。

  • 年齢30歳以下
  • 家計支持者の所得金額が2,000万円以下であること
  • 留学先のビザを取得可能であること
  • 日本国籍を有する、または日本への永住が許可されていること
  • 在籍大学等で、卒業または学位取得を目的とした課程に在籍していること
  • JASSOが依頼する各種イベントや調査等に協力できること
  • 支援期間開始時に、大学・企業等に雇用されていないこと
  • 応募時までに在学したすべての高等学校等における全履修科目の評定平均値が5段階評価で3.7以上に相当すること
  • TOEFL iBTの得点が80点、またはIELTS 6.0以上の基準を満たすこと(留学先の使用言語が英語の場合)
  • ヨーロッパ言語共通参照枠(CEFR)B2レベル以上であること(留学先の使用言語が英語以外の場合)

松岡幸之助国際スカラシップ

アジア、アフリカ、ラテンアメリカ諸国の大学・大学院及び政府研究機関に所属しての調査研究を対象にした、松岡幸之助国際スカラシップは、大学の学部生、大学院生・研究機関在籍者を対象としたものがあります。

この留学助成奨学金制度は、公益財団法人 松下幸之助記念志財団によるもので、毎年15名程の募集枠となっており、奨学金は月14万円(給付型)です。

またその他に渡航先への1往復分相当の渡航費が補助されます。

対象者の主な条件は下記の通りです。

  • 日本の大学に学部生として在籍していること
  • 年齢40歳未満
  • 他の奨学金を受給していないこと
  • 日本国籍を有する、または日本への永住が許可されていること
  • 在籍大学等で、卒業または学位取得を目的とした課程に在籍していること
  • 留学・研究する大学等に負いて研究を進めるに十分な語学力を有すること

柳井正財団海外奨学金プログラム

柳井正財団海外奨学金プログラムは、公益財団法人柳井正財団がおこなっている返済不要の給付型留学支援です。

学校からの推薦が必要な、公募制学校推薦海外大学奨学金(予約型)と、学校からの推薦の必要がない公募制海外大学奨学金(合格型)の2種類があります。

同年度に両方とも応募可能なので、他の奨学金制度よりもチャンスが多いのが特徴です。

学校は米国の概ねトップ50に入る大学及び、同等レベルの英国の大学に限られていますが、授業料・寮費・保険料を年間US$95,000(英国は£65,000)を上限として支給してもらえるため、かなり手厚い支援となります。

もし米国または英国への留学に絞って検討している場合は、申請してみる価値があるといえるでしょう。

この柳井正財団海外奨学金プログラムの主な応募条件は下記の通りです。

  • 年齢40歳未満
  • 国内の他の奨学金を受給していないこと
  • 日本国籍を有すること
  • 在籍大学等で、卒業または学位取得を目的とした課程に在籍していること
  • 家計支持者の所得金額が2,400万円以下であること

グルー・バンクロフト基金

公益財団法人グルー・バンクロフト基金によるこの奨学金制度は、米国の小規模・全寮制リベラルアーツ大学に留学する学生を対象としています。

奨学金の種類は3つあり、年8万米ドルの支給(給付型)を受けられるもの、奨学金年2万米ドル(給付型)と、提携校への授業料全額免除推薦が受けられるもの、そして提携校への授業料一部または全額免除の推薦を受けられるものです。

提携校は複数あり、その学校によって授業料の免除割合や基金からの現金支給額が変わってきます。

応募条件は下記の通りです。

  • 高等学校3年に在学中で、渡航予定年の6月までに卒業見込み、または1年以内に卒業していること
  • 国内の他の奨学金を受給していないこと
  • 日本国籍を有すること
  • 家計支持者の所得金額が2,000万円以下であること

中島記念国際交流財団

公益財団法人中島記念国際交流財団による、海外留学のための奨学金制度は、給付型の奨学金制度です。

採用予定数は10名ほどで、対象分野は情報科学・生命科学・経営科学に絞られているのが特徴となっています。

奨学金の内容は、月額20万円の支給と支度金50万円、復路航空賃、そして授業料(年間上限300万円以内)です。

この中島記念国際交流財団の奨学生採用条件は下記の通りです。

  • 年齢30歳未満
  • 留学先での教育研究に支障がない外国語能力を有していること
  • 日本在住であること

海外の奨学金制度

続いて、海外における留学生を対象とした奨学金制度には、どのようなものがあるかを見てみましょう。

フルブライト(アメリカ)

フルブライト奨学金は、日米教育交流振興財団による、給付型の奨学金制度です。

この奨学金は大学院生として留学する人が対象となっており、対象となる学術分野は、米国研究や日米関係、教育、グローバル社会などです。

日本在住で日本国籍を有することが応募資格の要件となっており、給付されるものとして下記が挙げられています。

  • 往復渡航旅費
  • 往復荷物手当
  • 滞在費
  • 住居手当
  • 家族手当
  • 図書費
  • 着後雑費
  • 授業料(上限あり)

チーヴニング奨学金(イギリス)

イギリス政府設立の奨学金制度である、チーヴニング奨学金は、給付型でこちらも大学院生が対象となっています。

英国の大学1年間で修士号を取得する “ intense master’s course “を受ける人が対象で、年齢の制限はありません。

給付内容は、下記の通りとなります。

  • 大学授業料
  • 毎月の支給額
  • 英国への渡航日、英国からの帰国費用
  • 帰省費用
  • ビザ申請1回分の費用
  • 英国で開催されるチーヴニングイベントに参加するための助成金

奨学金の申請手続きのポイント

上記だけでも、さまざまな奨学金の種類があり、申請する上での条件や手続き方法もその奨学金ごとに異なります。

そこでここからは、奨学金を申請する上でどのようなことに気をつければよいかをまとめました。

まずは申請条件を満たすことが必須

ここまでさまざまな奨学金を見てきてわかる通り、奨学金機構や制度によって条件がさまざまです。

海外での研究が可能な語学力を持っていることを証明する必要があるなど、財団の目的に合った人材であるかを見極めるために、小論文の執筆や面接といった試験を課すこともあります。

また、年齢制限や住んでいる場所や国籍によっても応募可否が決まるため、自分が対象であるかをしっかりと確認することが大切です。

手続きには時間がかかる

申請手続きが進むにつれて、先に述べた小論文の執筆や面接といったプロセスが発生するため、奨学金の合否がわかるまでにはかなり時間がかかります。

そのため、奨学金の申請は早くて留学予定の1年前〜可能となり、遅いものだと半年前からとなっています。

海外への留学を検討し始めた段階で、渡航先や留学先を決めると同時に自分が対象となる奨学金制度をリサーチしておくのがおすすめです。

奨学金の取得にはアピールが重要

制度によって異なりますが、実際に留学のための奨学金を受けることができる人はほんのわずかで、支援内容が手厚いものほど狭き門である傾向といえるでしょう。

海外留学のための支援をしている奨学金機構は、その人が支援目的を達成するために適した人材であるか、本当に支援が必要な環境にあるのかを審査します。

奨学金受給者として合格するためにも、機構の趣旨に沿った研究を志していることや、研究に見合った語学力や意欲があることを、できる限りアピールする必要があります。

まとめ

以上、奨学金で海外大学へ留学をする場合の奨学金制度の種類や、その申請に際してのポイントを紹介しました。

留学をするには国内の大学に進学する以上の資金が必要ですが、今回紹介した以外にも数多くの奨学金制度が国内外に存在しています。

自分のやりたいことや渡航したい場所に合わせた奨学金制度を見つけて、あらかじめ資格要件や奨学金の趣旨をリサーチし、自分のアピールポイントの準備をすれば、奨学生になれるチャンスは高くなるでしょう。

経済的な心配をせずに留学生活や勉強に集中するためにも、今回の記事を参考にし、ぜひ奨学金制度に応募してみてください。

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