日本人にイギリスのイメージを聞くと、多くの人が英国王室や紅茶、ビックベンなどを思い浮かべるかと思います。
一方、イギリス人が日本に対して抱くイメージとはどのようなものなのでしょうか。
そこでイギリス人のハウスメイトに対して、日本にどのような印象をもっているかについてインタビューを実施しました。
また、自国であるイギリス、同じく英語圏のアメリカに対しては、どのような意見をもっているのかなど、さまざまな質問をぶつけてみました。
イギリス人の日本に対するイメージ
まず「日本」という国に対して、どのようなイメージを思い浮かべますか?
日本といえば、桜や富士山を思い浮かべますね。
日本の象徴的なステレオタイプになっていると思います。
また、日本らしい建物として、神社やお寺なども印象深いです。
ほかには、どのようなステレオタイプがありますか?
相撲や侍、忍者も日本らしいイメージですね。
そのほかに着物や抹茶などもとても有名です。
日本食に対してはどんな印象がありますか?
やはり寿司の印象が一番強いのではないでしょうか。
実はイギリスでも寿司を提供する日本食レストランはたくさん見かけます。
ただ、値段が高いこともあってなかなか食べる機会はないですね…笑
ここまでは伝統的な日本のイメージですが、サブカルチャーの面ではいかがですか。
サブカルチャーもイギリスではとても大きい影響力をもっていますよ。
マリオ、ソニック、パックマン、ポケモンなど、日本発祥のキャラクターはイギリスでも大人気です。
たしか日本のゲームが海外でも販売されていると聞いたことがあります。
イギリスの子どもたちもポケモンゲームやたまごっちなどで遊んでいますよ。
僕も昔はポケモンをやっていて、プリンとミズゴロウが好きでしたね。
※英語版でもピカチュウはPikachuのままですが、プリンはJigglypuff、ミズゴロウはMudkipとそれぞれ英名がつけられています。
イギリス人の日本に対する悪いイメージ
反対に、日本に対して悪いイメージはありますか?
正直なところ、悪いイメージはほとんどないのですが、地震や災害が多い国という印象はあります。
2011年に日本を襲った大地震と津波、福島の原発事故は、イギリスでも大きなニュースとして報道されていたので、誰もが知っていると思います。
一方で、非常に激しい揺れにも耐えられる、日本の建築技術に感動したことも覚えています。
イギリスでも大きく報道されていたのですね。
当時はイギリスを含め、世界中の国々から支援してもらい、日本人も海外の方々に対してとても感謝していました。
ちなみに、国民性の部分でマイナスイメージはありますか?
かならずしも悪いことではないかもしれませんが、働きすぎる国民性は有名ですね。
日本語の過労死 (Karoshi) が英語圏でも通じるくらい、日本人は働いてばかりだとイメージするイギリス人は結構多くいます。
自分自身が働きすぎだと感じていても、周りに合わせる国民性もあって、「みんな同じくらい働いているから自分も働かなければ…」と考える方も多いのかもしれないですね。
でも日本の方々はしっかり者で、他者への気遣いができる人々だと思います。
また、親切な方が多い印象もあって、ぜひたくさんの方と知り合ってみたいです。
イギリス人の自国に対するイメージ
ここまでイギリス人の日本に対するイメージについて話してきましたが、イギリス人が日本人に自国を説明するときは、どのように紹介しますか?
まずは、サッカー文化ですね。
イギリス人は本当にサッカー観戦が大好きです。
それとスポーツ観戦に欠かせないビールです。
サッカーとお酒だけでイギリス文化の大体は説明できます。笑
さすがにもうすこしあるんじゃないですか?
いやいや、本当にイギリスは、ビール腹のおじさんがお酒を飲みながらサッカー観戦をしているだけの国ですよ。
ちなみに日本人は働きすぎとの話がありましたが、イギリスの方々の働き方はどうですか?
イギリス人はビジネスシーンでも、リラックスできている人が多いのかなと思います。
もちろんストレスからうつ病になってしまう人はいるのですが、日本と比べれば少ないのではないでしょうか。
イギリスの方もまじめに仕事に打ち込んでいるイメージがありましたが、うまくバランスをとって働いている方が多いのですね。
すこし話がそれてしまいましたが、イギリス国全体に対してはどう思っていますか?
ある程度教養のあるイギリス人は、自分の国のことを誇りにしていないと思います。
周りの友人をみても、いつでもイギリスの悪口を言っていますし、イギリス文化に誇りがない人も多いです。
それは意外ですね…!
なにか理由があるのでしょうか?
大きな理由としてあるのは、世界史におけるイギリスの行いですね。
ほとんどのイギリス人は、かつての帝国主義と植民地支配について、非常にネガティブな意見をもっています。
そのような背景から、自国を誇りに思うことについて、センシティブに感じてしまいます。
昔のできごととはいえ、自分たちの国の行いに対して、引け目を感じてしまう方も多いのですね。
現在のイギリス社会に対しては、満足している方が多いですか?
正直、現在のイギリス社会にも不満を感じている人の方が多いと思います。
まず、社会がうまく機能していない点は、国民からもよく指摘されています。
具体的にはどんな部分ですか?
最近、とくに問題視されていたのはコロナ対策です。
イギリスの全人口は日本の約半分にも関わらず、日本より圧倒的に多い死者を出しました。
ワクチン接種は、他国より早い段階で開始されましたが、それでもイギリスのコロナ対策が成功したとは思えません。
首相のボリス・ジョンソンがロックダウン中にも関わらず、パーティーを開いたことに対しても腹立たしい気持ちです。
政府に対して否定的な意見が多いのは、日本もイギリスも同じかもしれませんね。
イギリスといえば王室のイメージがありますが、王室に対する意見などはありますか?
英国王室に対する意見はとくにないですかね。
エリザベス女王は好きですが、それ以外にはあまり感想もないというのが正直なところです。
熱狂的なファンも一部いますが、おそらく多くのイギリス人は同じようなスタンスではないでしょうか。
イギリス人のアメリカに対するイメージ
最後に、同じ英語圏の国としてイギリスとアメリカはよく対比されると思いますが、イギリス人から見たアメリカはどのようなイメージでしょうか?
アメリカ人を否定するわけではないのですが、アメリカ英語とイギリス英語はまったく違うものだと考えています。
言葉を選ばずに言ってしまえば、スペリングも間違いだらけで、きちんとした英語ではないと思っています。
イギリス人からすると、あまりライバル意識のようなものはないですか?
そうですね。
おそらくアメリカ対イギリスの構図は外から見たときのもので、イギリス国民はとくにアメリカを強く意識していることはないと思います。
日本と同じように、海外の国の一つという認識ですね。
イギリス人は日本に対して好意的
今回は、イギリス人からみた日本やイギリス、アメリカについてインタビューしてみました。
日本文化の点では想定していたとおりの回答でしたが、自国にあまり誇りをもっていないことにはとても驚きました。
私たち日本人が日本のよくない点に対して不満を漏らすのと同じように、イギリス人も自国に対しては厳しい見方を示しているようでした。
このように他国から見た日本を知ることは、新たな一面を発見したり、国によるイメージの違いを理解したりすることにつながります。
異文化交流の醍醐味でもあるため、海外の方とコミュニケーションをとるときにはぜひ日本や自国へのイメージを聞いてみてください。