留学時は人も文化も異なる国で生活するため、カルチャーショックを受けることも少なくありません。
私は現在、イギリスのリーズ大学院に留学をしていますが、イギリス人の国民性や文化は日本と大きくかけ離れていて驚くことばかりです。
この記事では、とくに衝撃を受けたポイント、日本文化と比較したイギリス文化について解説します。
イギリスの文化
国ごとの文化を考えるとき、主に以下の4つの要素があります。
- 歴史
- 芸術
- 生活
- 食事
まずは、イギリス文化についてそれぞれの観点から紹介します。
歴史文化
イギリスの正式名称は「グレート・ブリテンおよび北アイルランド連合王国」です。
その名のとおり、複数の国 (イングランド、ウェールズ、スコットランド、北アイルランド) から成り立っており、英語では “United Kingdom” と表記されます。
イギリスの国旗である「ユニオンジャック」は、これらの国の国旗を重ねた旗となっています。
赤い十字がイングランド、赤い✕字が北アイルランド、青い背景がスコットランドの国旗です。
ウェールズがユニオンジャックに含まれていないのは、イングランドへの併合が早かったためです。
それぞれの国に歴史や文化があるため、イギリス人はこれらの国をひとくくりに「イギリス」と呼ばれることを嫌います。
サッカーのワールドカップで4つとも別チームとして出場しているのも、それぞれが一つの国であるということを示しています!
芸術文化
イギリスはさまざまな芸術文化がある国です。
ピーターパンや不思議な国のアリスなどの文学作品、The BeatlesやQueenの音楽作品などは、日本でも親しまれています。
また、イギリスには大英博物館をはじめ、無料の博物館や美術館がたくさんあります。
入場料が無料に設定されているのは、来場者の寄付によって運営されているためです。
イギリス人がいかに芸術文化を大切にしているかがわかるのではないでしょうか。
生活文化
イギリスで生活をしてみて、はじめに驚いたのは水が硬水であることです。
日本の水道水は軟水のため、まろやかでやさしい味がしますが、イギリスの水道水は硬水独特の味がします。
ほかに驚いたことは、食器を洗ったあとに洗剤の泡を流さずに乾かすことです。
日本では考えられませんが、イギリスでは洗剤を流す方が少数派だそうです。
また、日常生活以外の部分では、行事や祝日などの文化もまったく違います。
イギリスはもともとキリスト教的な文化が多く、イースター(復活祭)や四旬節、パンケーキデーなどがあります。
私もパンケーキデーにはハウスメイトとパンケーキを焼きましたが、イギリス流のパンケーキは薄いクレープを何層にも重ねたものでした。
クリスマスの翌日が「ボクシングデー」と呼ばれており、バーゲンセールが行われるのもイギリスならではです!
食文化
イギリスの食文化と聞くと、「ごはんがおいしくない」というイメージをもっている方も多いのではないでしょうか。
たしかにイギリスの食事はあまりおいしくなく、背景には以下のような理由があります。
- 食へのこだわりがない人が多い
- 味付けをする調理法が一般的ではない
また、アフタヌーンティーでは多くの人が軽食を食べながら紅茶を飲むイメージをすると思いますが、まさにそのイメージ通りです。
そのほかにも以下のような場面で紅茶を飲んでいます。
- 起床後
- 課題を終えたあと
- パブから帰ってきたあと
- 寝る前
詳しくは、以下の記事でイギリスの食文化について解説しています。
イギリスの国民性
次にイギリス人の国民性について、解説します。
なお、これから紹介するイギリス人の性格や特徴は、あくまで全体的な傾向です。
イギリス人全員に該当するものではなく、性格・特徴・価値観・考え方は個人ごとに異なります。
島国根性がある
イギリスも日本と同じような島国根性があるといわれています。
イギリス英語には「島国根性」と同義語の “Insularity” , “Insularism” という言葉があります。
「ほかの国の考え方や文化を受け入れず、イギリスへの興味だけを価値として考える」というような意味です。
イギリスも日本と同様、島国で国境に接している国がありません。
そのため、歴史的にはフランス文化の影響を受けながらも、イギリス独自の文化を発展させてきました。
このような背景から、イギリス人は「ヨーロッパ大陸と一緒にしないでほしい」というアイデンティティーをもっている人が多いです。
イギリス人は独自のアイデンティティーをもちたいという意志が強く、島国根性があるように思えます。
「日本人と似ている!」と感じる方も多いのではないでしょうか?
あまり悩まずマイペース
留学中、「イギリス人は吞気だなあ」と感じることが多くありました。
たとえば卒業後の進路を例にあげると、日本では大学3年生のころから本格的に将来を考えて、就職活動を始める方が多いはずです。
一方、イギリスの学生は同じ時期に就職活動を始めている人が少ない印象を受けました。
今年、大学を卒業予定のイギリス人に「卒業後は何をするの?」と質問をしたところ、「とりあえず大学の勉強を終えてから考える」や「大学の勉強を頑張ったからすこし休みたい」というコメントが返ってきました。
海外では卒業後すぐに正社員として働くのではなく、卒業から就職の間に社会体験を積む「ギャップイヤー」という考え方も浸透しています!
お酒を飲んで会話を楽しむのが好き
イギリス人は話好きな方が多いのも特徴です。
たとえば、電車で横に座っていた男性に「どこへ向かっているのですか」と話しかけられることもあります。
イギリス人のおしゃべり好きな性格は、お酒が入るとさらにヒートアップします。
とくに金曜の夜や週末にはパブへ行き、お酒を片手に会話を楽しむのが多くのイギリス人の習慣です。
パブは、ビジネスマンや地元の人々でとても混んでおり、社交の場としての役割も担っています。
また、イギリスでは暖かくなってくると屋外の庭でバーベキューをします。
上の写真は、以前ハウスメイトと一緒にしたバーベキューの様子です。
バーベキューもお酒を交えて夕方から夜の時間に行われることが多く、私が参加したときは夕方の17時から夜11時まで続きました。
アメリカ英語には否定的
日本人はアメリカとイギリスはどちらも英語を話す国として認識していますが、イギリス人はアメリカ英語が好きではありません。
「もともと英語はイギリスで生まれたものであり、アメリカ英語は伝統的な英語ではない」と考えているためです。
実際にイギリス人のハウスメイトにアメリカ英語について聞いてみると、「間違った英語の使い方をしている」と厳しい意見が返ってきました。
また、私自身も “summer vacation” とアメリカ英語を口にした際、イギリス人に指摘されたこともあります。
イギリス英語では “summer holiday(s)” といいます。
雨でも傘をささない
雨が多いイギリスにおいて傘は生活必需品に思えますが、傘をさすイギリス人はほとんどいません。
その理由として以下の2点があげられます。
- 大雨が降ることがなく、パラパラとした雨が降るため
- 天気がすぐに変わるため
そのため、傘をもつ習慣さえない人々がほとんどです。
傘をささないかわりに、パーカーのフードをかぶったり、雨が止むタイミングを見計らったりして、雨を避けて行動しています。
日本とイギリスの文化の違い
次に、日本とイギリスの文化の違いについて紹介します。
キャッシュレス化が進んでいる
イギリスでは現金を使う場面がほとんどありません。
クレジットカードやスマホのアプリで支払う「キャッシュレス文化」が広く浸透しています。
基本的にどこでも現金以外の支払い方法が用意されているため、イギリス人の友達もApple Payなどを使っており、現金は持ち歩かないそうです。
日本においてもキャッシュレス決済は広まっていますが、いまだに現金が必要になる場面は多いですよね。
一方、イギリスは完全にキャッシュレス社会が実現されていると感じました。
移民が多く異文化に寛容的
イギリスは多民族国家であり、さまざまな国籍・人種の人々が生活しています。
とくに首都ロンドンは、非常に多くの移民が世界中から集まっています。
移民が多い背景には、かつてイギリスが世界中に広大な植民地をもっていたことが関係しています。
そのため、文化や常識が異なる方への理解度も深いように感じます。
友人への失礼な態度は仲がよい証拠
日本では「親しき中にも礼儀あり」という言葉があるように、友人関係においても礼儀正しいことが美徳されています。
しかし、イギリス人の考え方はまったく異なるものです。
イギリスでは “Being polite the more they hate you, and being rude the more they like you”という言葉があり、日本語に訳すと「相手が嫌いであればあるほど礼儀正しく振舞い、好きであればあるほど失礼な態度をとる」となります。
そのため、イギリス人の友達が失礼なジョークを口にしたとしても、友達として近づいた証拠であると考えましょう。
日本とは真逆の文化のため、日本人にとっては理解が難しいかもしれないですね…!
イギリス文化を理解して充実した現地生活を
イギリスは、地理的な環境や国民性の部分では日本人と似ている面がある一方、考え方や文化のなかには大きく異なる部分もあります。
イギリス人の国民性や文化を理解できれば、旅行や留学生活はより豊かで充実したものになります。
イギリスに限らず、旅行や留学の前には行先の文化やマナーを調べ、現地の人々の価値観をリスペクトするよう心がけましょう。