大学を卒業後、就職や大学院など進路で悩む人は多く、下記のような悩みを抱えている方も少なからずおられるはずです。
- 日本の大学を卒業したあとは、カナダの大学院に留学したい
- 大学を卒業して就職したが、カナダの大学院でもっと勉強したい
- カナダの大学院に留学したいけど、どういった手続が必要なのか
- 留学する経済的負担が大きいので、可能なら奨学金を利用したい
海外の大学院に進学したいけれど申込手続きや必要な書類がわからない場合、遠く離れた国・地域に行くことで不安を感じてしまうかもしれません。
この記事ではカナダの大学院留学を検討している方に向けて、カナダ大学院の特徴や手続きについてや、利用可能な奨学金などを紹介します。
ぜひ、参考にしてみてください。
カナダの大学院へ留学するメリットや特徴は?
カナダの大学は欧米の大学院と似ている部分はありつつも、独特な特徴もあります。
ここではカナダの大学院留学の特徴を紹介します。
研究主体のコースが多い
カナダの大学院の場合、コースワークと(クラスの履修、論文の提出など)、研究主体のコースにわかれています。
また、研究主体のコースが多いです。
専攻について大学ですでに学習している必要があり、大学院2年目からは専攻の研究期間に充てられます。
一方、アメリカの大学院では、「実践的なコースを基礎から学ぶ」という違いがあります。
教育水準が高い
カナダは教育先進国であり、マギル大学、ブリティッシュコロンビア大学、トロント大学など世界的にも有名なトップスクールが多くあり、世界でも有数の高い教育水準といわれています。
教育内容、専門科目が豊富で、プログラムの改編や新設に積極的です。
そのため最先端の学問を求めて、世界中から多くの学生が集まっています。
アメリカやヨーロッパの大学・大学院とのネットワークがあり、共同や独自で高度な研究がおこなわれています。
医学や工学分野が有名
カナダの大学院では、医学・バイオ工学・通信・コンピューターの分野は世界的に有名で、最先端の理論や技術を展開しています。
ほかにも専門科目は充実していて、北米研究、海洋学、水産学、農学、環境学などカナダの特徴を活かした専攻科目が多くあります。
学費が比較的安い
アメリカでは教育ビジネスが盛んなためトップスクールは私立校が多いですが、カナダの大学・大学院のほとんどが公立校のため、学費が比較的安く抑えられます。
カナダの大学院では私立校の数は極端に少なく、アメリカと比べて安くなるケースが多いでしょう。
学生寮も夫婦用、女子学生用、留学生用などさまざまな種類があり充実しているうえ、費用も安く経済的にも安心して生活ができます。
入学するための難易度が高い
教育水準が高く、入学するうえで求められる学力や英語力の基準が高い点も特徴です。
難易度が高いのは一見するとデメリットに思えるかもしれませんが、入学の基準が高ければ受けられる教育のレベルも高いということですね。
もちろん簡単な道ではないですが、より高いレベルの教育内容を求める人にとっては最適な環境です。
スコアの目安
- 高校や大学での成績を証明するGPAは3.3〜4.0程度が求められます。
- 英語力はTOEFL iBTで80〜100、IELTSでは6.5以上が目安となります。
「TOEICは持っているけど、TOFELは受けたことがないので難易度がわからない」という人は下記を参照してください。
TOEICとのスコア換算表を記載しているので、今後の英語学習を進める上で目標になるでしょう。
カナダの大学院の2つの教育課程
カナダの大学院における教育課程は日本と同じ、修士課程と博士課程の2段階です。
修士課程
学問的研究を追求する分野と、職業的なスペシャリストを育成する分野にわかれます。
学問的研究の代表例は「人文/社会科学系」分野で、歴史学や社会学などを含みます。
職業的なスペシャリストの分野は、経営学、法学、建築学で、学術的研究と職業的なスペシャリスト両方の特徴をもつ分野は医学、理工学、教育学などです。
修士課程は、1~2年で修了する一方で、パートタイムで履修する場合は、3年かかる場合があります。
コースワークと修士論文により学位を取得するが、修士論文が必要ない場合や、インターンシップが必要な場合などもあり、出願時に確認しておいた方が良いでしょう。
博士課程
博士課程では、高いレベルの研究活動を展開するスペシャリストを育成することを目的としています。
修士課程を修了すれば誰でも博士課程に進める訳ではなく、教授の推薦があってはじめて選考試験を受けられます。
選考試験は非常に複雑で、修士課程までのすべての学業成績や職業経験まで評価の対象となります。
入学後は、規定のコースワークの履修と筆記と口頭による試験、外国語能力やリサーチ・スキルなどの履修をしたうえで、博士論文が審査に通れば博士号を取得できます。
基本的に3年の履修が必要ですが、実際に必要な単位を取るまでに平均で4~5年ほどかかります。
カナダの大学院留学に必要な書類
カナダ大学院に留学する際に必要な提出書類を説明します。
- 願書
- 高校卒業/成績証明書
- 大学卒業/成績証明書
- 推薦状(複数人の推薦状が必要な場合もあります)
- 英語のスコア(TOEFL iBT:92~100/IELTS:6.0~7.0)
- GRE/GMATのスコア
- その他、就労経験や論文の実績があれば提出する必要有
カナダの大学院への留学にかかる費用の目安
カナダの公立の大学院に留学する場合、1年間で150~350万円ほどが目安です。
上記には学費と生活費も含みます。
有名な私立の大学院の場合、200〜500万円ほど必要です。
アメリカの大学院と比較すると、半分から3分の2程度というのがわかります。
また、学費と生活費のほかにも渡航費や保険料、教材費などがかかります。
学内であればアルバイトをできる場合がありますが、それでも経済的に難しい場合は奨学金制度の利用を検討してみましょう。
カナダの大学院への留学に利用できる奨学金
アメリカの大学院と比較して学費や生活費は安く抑えられるとご紹介しましたが、それでも年間数百万円の負担は大きいです。
奨学金の利用を検討してみるといいでしょう。
次に、カナダの大学院留学で利用できる奨学金制度を下記に紹介します。
ヴァニエ・カナダ大学院奨学金
カナダ政府が管轄する、大学院で優れた成績をあげている人を対象とした奨学金です。
ここがポイント!
- 博士課程の学生向けで、大学院からの推薦が必要です。
- 奨学金が認められれば年間で約540万円、期間は最長で3年間支給されます。
代表的な奨学金のなかでは、支給期間が一番長いのが特徴です。
バンティング博士研究員奨励金
カナダ人または外国人の博士課程修了者を対象とした奨学金です。
将来の研究で中心的役割を担うためのベースを築き、実績を出し、カナダの経済や社会に貢献していくことが目的です。
年間で約760万円支給され、期間は2年です。
対象の研究分野は以下になります。
- 保健研究
- 自然科学
- 工学
- 社会/人文学
高円宮記念クイーンズ大学留学奨学金
クイーンズ大学に留学する日本人大学生が対象の奨学金です。
日本とカナダの友好関係に貢献した、クイーンズ大学の卒業生の高円宮殿下を記念し、設立されました。
年間で400万円支給され、期間は1年間です。
給付型奨学金のため返済不要なのが嬉しいポイントですね。
留学先が限定されていて、日本の大学に在籍する大学2年、3年生のみが応募可能ですが、条件が合う人にはぜひトライしてもらいたい奨学金です。
カナダ留学で奨学金を利用する際の注意点
奨学金によって、応募期間や申込条件が指定されているため注意が必要です。
留学の準備をしはじめると同時に、利用できる奨学金を探しましょう。
また、奨学金のタイプや運営している団体によっては成績の基準が設けられていること、推薦状が必要な場合もあります。
まずは募集要項をよく読み、理解しましょう。
返済金額や期間についても注意が必要です。
カナダ大使館の広報・文化部やカナダ大使館のホームページにて詳細情報をチェックできるので、こまめなチェックをおすすめします。
近年、不審な奨学金案内が出回っています。
より一層注意しながら確認しましょう。
奨学金が得られない場合、教育ローンという手段もあります。
民間の金融機関からお金を借りるので、貸与型奨学金よりも金利は高くなるかもしれませんが、金融機関によっては低金利で貸し出しています。