オーストラリアの大学や大学院への留学に興味があるものの、学費などのコストがネックで諦めてしまう方も少なくありません。
コストで留学を悩んでいる方には、「奨学金制度の活用」を検討してみましょう。
オーストラリアの大学や大学院への留学をする方を対象にした奨学金は大きく下記の2種類にわけられます。
- オーストラリア政府や留学先の大学が提供する奨学金
- 日本政府が提供する奨学金
この記事では、それぞれの奨学金制度について詳しく解説します。
費用を抑えて、オーストラリアの大学や大学院へ留学をしたい方は参考にしてみてください。
※奨学金の内容は今後変更になる可能性もあるため、詳細は留学エージェントにご相談いただくか、もしくはご自身での確認をお願いします。
オーストラリア留学奨学金
オーストラリアの大学・大学院に留学するには、高額な費用が必要になってきます。
多額の費用は出せないという方には、オーストラリアの留学奨学金を検討しましょう。
奨学金を取得することで経済的な不安を抱えることなく留学ができ、現地で学業に励むことができるはずです。
まずは、オーストラリア留学奨学金の概要や特徴について詳しく解説します。
返済不要の給付型奨学金が中心
オーストラリアの大学が提供する奨学金のほとんどが給付型で、返済する必要がありません。
下記のようにさまざまなタイプの奨学金があり、このような奨学金制度を上手に活用することで留学にかかる費用を大きく節約できるでしょう。
- 授業料10%または50%免除
- 授業料30万円免除
大学が提供する奨学金の申請方法は、出願時に奨学金の審査が同時におこなわれたり、自分で申し込む必要があったりするなど大学によって異なります。
また、審査基準についても大学によって異なりますが、多くのケースで下記の3点が審査されます。
- 最終学歴の成績(GPA)
- 英語力
- 自己推薦書
「奨学金」と聞くと、成績優秀者だけが受け取れるものというイメージを持つ人がいるかもしれませんが、かならずしもそうではありません。
入学者全員を対象とした奨学金などもあるので、大学選びをする際に要チェックです。
また、オーストラリアの大学への進学を高校在学中に検討している方は、入学がしやすくなるだけでなく、奨学金を獲得できる可能性が高くなります。
高校では好成績を取得しておきましょう。
選考基準
奨学金を申請するための条件として、下記のような文言を見かけたことがある人も多いでしょう。
奨学金対象者
- 最終学歴で優秀な成績を収めている
非常に抽象的で分かりづらいですが、このような文言が記載されている奨学金では、応募してきた学生の中で高いGPAを持つ学生から順に奨学金が認められるケースが多いです。
応募してきた学生の学力によって決まることから、そのボーダーラインは奨学金募集のタイミングで大きく異なります。
そのため、優秀な成績という曖昧な表現で濁しているのです。
また、オーストラリア国内の都市部の有名大学、特に下記の”Group of Eight”に所属する大学の奨学金の競争率が高い傾向にあります。
- 西オーストラリア大学
- アデレード大学
- モナッシュ大学
- メルボルン大学
- オーストラリア国立大学
- シドニー大学
- ニューサウスウェールズ大学
- クイーンズランド大学
Group of Eightとは、オーストラリア国内の大学の中で特に優れたトップ8の大学を指します。
これらの大学のほとんどが、”Times Higher Education”などの世界大学ランキングでトップ100に名を連ねています。
オーストラリアの大学に留学したいものの、どうしてもコストが壁となってしまい諦めざるを得ないという方は、郊外のマイナーな大学への入学を検討してみましょう。
マイナーな大学であれば奨学金の競争率が低く、奨学金を獲得できる可能性が高いです。
また、額の大きい奨学金ほど応募が多く人気があります。
人気奨学金は取得も大変
- 人気のある奨学金は世界中の優秀な留学生と競うことになるため、GPAがほぼ満点であるなど非常に優れた成績を収めていることが大切です。
コストを抑えてオーストラリアの大学への留学を実現させたい人は、大学選びをする際に「奨学金制度」についてもチェックしてみてください。
政府から支給される奨学金もある
大学から提供される奨学金だけでなく、オーストラリア政府や各州政府が提供する奨学金もあるため、オーストラリアの大学や大使館のウェブサイトをチェックしましょう。
オーストラリア政府の奨学金としては、地方都市にある大学やキャンパスにフルタイムで通っている留学生を対象とした“Destination Australia Scholarship”があります。
これは、オーストラリアの地方都市の高等教育機関をさらに発展させて、学生に質の高い教育を提供することを目的とした奨学金制度です。
年間で最大15,000オーストラリアドル(約145万円)の奨学金が支給されます。
対象となる大学やキャンパス、割り当て人数など受給資格や奨学金についてさらに詳しく知りたい方は、こちらの記事もあわせて読んでください。
オーストラリアの主要大学の奨学金
オーストラリア国内にはおよそ40校の国公立大学がありますが、この章では下記の5つの主要大学の奨学金制度について詳しく紹介します。
- メルボルン大学
- モナッシュ大学
- オーストラリア国立大学
- クイーンズランド大学
- ニューサウスウェールズ大学
本章を参考にしながら、留学先の大学選びに役立ててください。
メルボルン大学
メルボルン大学は、世界ランキング37位、オーストラリア国内では1位の優れた大学です。
オーストラリアで2番目に歴史のある大学で、2008年に導入されたメルボルンモデルに基づいた新しいカリキュラム改革を推進しています。
しかし、メルボルン大学は学費が高い大学として有名な大学でもあり、年間で33,000~54,000オーストラリアドル(280~450万円)ほどかかります。
メルボルン大学では、下記の3つのコースで奨学金制度があります。
- 学士課程
- 修士・博士課程
- ファウンデーションコース
ファウンデーションコースとは?
- 大学入学に必要となるための知識や英語力を身につけるための大学進学準備コースのことを指します。
- コースの内容は大学ごとに異なりますが、受講期間は1年であることが一般的です。
成績優秀者が対象となる奨学金プログラムが多いですが、中には授業料100%免除といった奨学金も存在します。
出願時に自動的に審査されるタイプの奨学金が多いです。
下記は、メルボルン大学が提供する奨学金の一例です。
対象者 | オーストラリア国外の高等学校、あるいはオーストラリア国内のファウンデーションコースを修了している者 |
支給額 | ①学士号初年度は授業料の10,000オーストラリアドル ②学士号3年間、授業料の50%または100% |
応募条件 | 学士課程の入学許可を得ていること 最終学歴で優秀な成績を収めていること これまでに専門学校や大学で高等教育を受けていないこと |
申込方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
対象者 | 学士課程コースに在籍する者 |
支給額 | ①授業料の10,000オーストラリアドルの免除 ②授業料の50%または100%免除 |
応募条件 | 学士課程の入学許可を得ていること 中等学校(高校)で優秀な成績を収めている (例:GCE Aレベル、上位3%に入る成績) これまでに大学や大学院、専門学校などで高等教育を受けたことがない者 |
申込み方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
モナッシュ大学
モナッシュ大学は世界大学ランキングでは54位、オーストラリア国内では第2位にランクインするハイレベルな大学です。
特に、下記の学部は世界トップレベルで有名です。
- 薬学部
- 鉱物学部
- 看護学部
- 教育学部
メルボルンにメインキャンパスがありますが、マレーシアや中国など世界各国に海外キャンパスも構えており、非常に国際的な大学です。
モナッシュ大学も、メルボルン大学と同様に学費が高く、年間33,000~46,000オーストラリアドル(273~330万円)ほどの学費がかかります。
しかし、モナッシュ大学にも奨学金制度があり、学士課程と大学院に在籍する学生を対象に3,000~40,000オーストラリアドル(25~330万円程度)の奨学金が支給されます。
出願時に自動的に審査されるタイプが多いです。
下記は、モナッシュ大学が提供する奨学金の一例です。
対象者 | 対象コースの入学許可を得ている学士課程、あるいは修士課程に在籍する学生 |
支給額 | 年間10,000オーストラリアドルを卒業するまで |
応募条件 | 優れた成績を収めていること 各学期の成績で平均70%以上を維持していること |
申し込み方法 | 入学許可を取得後、奨学金申請書を書いて申し込む |
対象者 | 学士課程または修士課程に在籍している者 |
支給額 | 年間10,000オーストラリアドルを卒業するまで |
応募条件 | モナッシュ大学の入学許可を得ていること |
申し込み方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
シドニー大学
オーストラリア最古の大学で160年もの歴史をもち、世界中の大学と連携しており、国際的な大学です。
これまでに多くの著名人を卒業生として輩出してきました。
シドニー大学も学費が高く、年間40,000~50,000オーストラリアドル(330~415万円)ほどかかります。
しかし、成績優秀者には初年度のみ年間で最大40,000オーストラリアドル(約320万円)が支給されるなど、支給額の高い奨学金プログラムも用意されています。
シドニー大学の奨学金は、学士課程と大学院に在籍する学生を対象にしたプログラムです。
出願すると、自動的に審査されるタイプが多いという特徴があります。
下記は、シドニー大学が提供する奨学金プログラムの一例です。
対象者 | 学士コース、あるいは修士コースの直接入学許可を得ている者 |
支給額 | ①年間40,000オーストラリアドル ②学期20,000オーストラリアドル ③学期10,000オーストラリアドル ④学期5,000オーストラリアドル ※初年度のみ適用 |
応募条件 | 学士コース、あるいは修士コースの入学許可を得ているものの、まだコースが開始していないこと 最終学歴で優れた成績を収めていること |
申し込み方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
対象者 | 学士課程あるいは修士課程に在籍している者 |
支給額 | 学期毎に5,000〜20,000オーストラリア、または年間最大40,000オーストラリアドル |
応募条件 | シドニー大学の学士号、または修士号のコースに申請しているがコースを開始していない者 |
申し込み方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
オーストラリア国立大学
オーストラリア国立大学は世界大学ランキングで67位、オーストラリア国内では第1位にランクインする大学です。
国内唯一の国立大学で、首都のキャンベラにキャンパスを構えています。
環太平洋大学協会(APRU)や、下記のような世界の一流レベルの大学10校で組織されたIARUのメンバーです。
- ケンブリッジ大学
- イエール大学
- 東京大学
また、これまでにノーベル賞受賞者などさまざまな著名人を卒業生として輩出してきました。
オーストラリア国立大学には、下記のようにさまざまな学部・専攻があります。
- 人文科学
- アジア太平洋学
- 経済学・商学
- 情報科学・工学・法学
- 医学・生物学・環境学
- 物質科学・数学
学費は年間39,000~48,300オーストラリアドル(324~400万円)程度で、奨学金を活用することで授業料が最大25,000オーストラリアドル(約207万円)免除される可能性があります。
学士課程、あるいは大学院に在籍する学生が対象です。
下記は、オーストラリア国立大学の奨学金プログラムの一例です。
対象者 | 学士課程、あるいは大学院課程に在籍している者 ※医学博士・外科学博士は対象外 |
支給額 | 学費の25%(学士号:最大3年間、修士号:最大2年間) |
応募条件 | 対象コースの入学許可を得ていること 最終学歴で優れた成績を収めていること 過去に奨学金の支給を受けていないこと |
申し込み方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
対象者 | 学士課程あるいは修士課程に在籍している者 |
支給額 | 15,000〜25,000オーストラリアドル |
応募条件 | 学部、あるいは大学院のコースの入学許可を得ていること 政府やその他団体などから授業料の支援を受けていないこと |
申し込み方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
ニューサウスウェールズ大学
ニューサウスウェールズ大学は、世界の大学ランキングで84位、オーストラリア国内で6位に位置する名門大学です。
就職に強い大学、あるいは世界120カ国から留学生を受け入れる国際色が強い大学として定評があります。
学費は年間で36,000~47,000オーストラリアドル(300~390万円)と高額で、大学もシドニーを中心に都会にあるため生活費もかかるでしょう。
ニューサウスウェールズ大学に留学したいと考えている方は、奨学金を活用して留学にかかるコストを抑えることを検討してみてください。
学士課程や大学院だけでなく、ファウンデーションコースやディプロマコースに在籍する学生も対象にした奨学金プログラムがあります。
ディプロマコースとは?
- ディプロマコースとは、日本の高校を卒業した方を対象にしたコースで、大学1年次課程に相当するコースのことです。
- コース修了後は、大学2年生に編入することができます。受講期間は8ヶ月〜1年間です。
下記の表は、ニューサウスウェールズ大学で提供されている奨学金プログラムの一例です。
対象者 | 対象のコースやプログラムを受講する予定の者 |
支給額 | 10,000オーストラリアドル ※1年目の2ターム目の授業料の充当 |
応募条件 | 対象のコースをターム1から受講すること ※ファウンデーションコースやディプロマコース経由の場合は除外される |
申し込み方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
対象者 | 学士課程、あるいは大学院課程に在籍する者 |
支給額 | 年間5,000オーストラリアドル、あるいは年間10,000オーストラリアドル ※初年度のターム2に支給 |
応募条件 | 学部または大学院の入学許可を得ていること |
申し込み方法 | 出願時に自動的に審査 別途手続きは不要 |
日本政府による奨学金
オーストラリアの大学や大学院に留学する際に活用できる奨学金は、オーストラリアが提供するものだけではありません。
日本政府も海外大学や大学院に留学する学生を対象に奨学金を提供しています。
日本政府が提供する奨学金には、下記の2種類あります。
日本政府が提供する奨学金のタイプ | 詳細 |
給付型 | 返済義務がない奨学金 英語力が高い者、あるいは成績優秀者のみが活用できる奨学金 競争率が非常に高い |
貸与型 | 返済義務のある奨学金で、「借金」と同じである 保護者の収入によって支給可否が審査される 給付型と比較すると、申請が通りやすい |
日本政府が提供する奨学金制度を活用する際には、どちらのタイプであるのかしっかりと把握し、それぞれのメリットとデメリットを知ったうえで申請することが大切です。
ここでは、下記の3つの日本政府が提供する留学金制度について詳しく紹介します。
- トビタテ!留学JAPAB日本代表プログラム
- JASSO
- 文部科学省奨学金
国内の奨学金プログラムを探している方は、ぜひ参考にしてください。
トビタテ!留学JAPAB日本代表プログラム
「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」は、文部科学省と民間企業が協働で実施する海外留学奨学金制度です。
交換留学などの単位取得を目的とした留学だけでなく、下記のようにさまざまな海外での活動を支援しています。
- インターンシップ
- ボランティア
- フィールドワーク
応募する際には、海外でどのような経験や活動をしたいのかといった目的やゴールを明確にした留学計画書の作成が必要です。
「トビタテ!留学JAPAN日本代表プログラム」が提供する奨学金プログラムの詳細については、下記を参考にしてください。
対象者 | 日本国内の高校や大学に通う者 |
支給額 | 月額:120,000円 留学準備金:250,000円 学費:300,000〜600,000円 |
応募条件 | 日本国籍を有する者、あるいは応募時までに日本への永住が許可されている者 留学を開始する年度の4月1日に30歳以下である者 留学期間が28日以上1年以内の留学計画であること 実践活動が含まれている留学計画であること ※英語力の条件はなし |
JASSO
JASSOとは日本学生支援機構のことで、国の奨学金支援団体の代表例です。
留学先での学費を対象に、各年度250万円を上限(留学先の国や地域によって異なる)として、原則4年間支給を受けられる給付型の奨学金制度があります。
進学を希望する前年の9月から10月に応募期間が設けられています。
大学が提供する奨学金とは異なり、早めに準備する必要があるため、注意しましょう。
下記は、JASSOが提供する奨学金プログラムの一例です。
支給額 | 月額5万9,000〜11万8,000円を原則4年間 ※留学先の国や地域によって異なる |
応募条件 | 応募時に日本に在住し、高校卒業後、海外にある大学で「学士号」を取得する過程に直接進学する者 留学期間終了後、将来的に大学や研究機関などにおいて日本の国際競争力の強化や国際社会への知的貢献に資する教育研究を行う意思を有する者 |
支給額 | 奨学金:月額8万9,000〜14万8,000円 ※留学先の国や地域によって異なる 授業料:年度250万円を上限とする実費額 |
文部科学省奨学金
文部科学省奨学金は、その名の通り文部科学省が提供する奨学金制度で、日本国内の大学や専門学校に在籍している学生が対象です。
成績や課程の経済状況に応じた額の奨学金が提供されます。
申請方法や奨学金について詳しく知りたい方は、所属する学校の窓口などで確認してみましょう。
まとめ
この記事では、オーストラリアの大学や大学院への留学を検討する方が対象となる奨学金制度について詳しく解説しました。
奨学金制度を上手に活用することで、夢であった留学を実現できる可能性が高まるでしょう。
ぜひ活用を検討してみてください。
オーストラリアの大学や大学院への留学に興味のある方は、まずは無料カウンセリングを受けてみてください。
無料・有料サポートそれぞれあり、自身のニーズに合わせてサポート内容を選ぶことが可能です。