海外の大学院へ進学したい方や、TOEFLの試験対策が終わった方の中には、GREに興味を持っている方もいると思います。
しかし、GREがどんな試験なのか、どのような対策をしていけば良いのかわからない方も多いでしょう。
今回は、北米の大学院へ進学する場合に必要となる、共通試験GREについて解説します。
GREとは?
GREとは、教育試験サービス(※ETS)が運営する共通試験で、北米の大学院へ進学する場合に必要となる試験です。
GREの試験はPCで実施され、祝日以外ほぼ毎日受験可能となっています。
日本でも受験可能なため、近くの試験会場を確認してみましょう。
※ETSとは、TOEFLやTOEICなどの運営もしているアメリカ企業のこと
アメリカ・カナダの大学院で採用されている
GREは、アメリカ合衆国やカナダの大学院へ進学するのに必要な共通試験です。
よく比較される試験として、“ GMAT(ジーマット)” がありますが、最近はGREでも受け入れ可能なビジネススクールも多くなってきています。
ただ近年の傾向として、アメリカ内でGREが必要ない大学院も増えているため注意が必要です。
自分が興味のあるプログラムのサイトを見て、本当にGREが必要かどうかを事前に確認しておきましょう。
GeneralとSubjectの2種類がある
GREのテスト構成は、一般知識を問う “General Test” と専門知識を問う “Subject Test” に分かれています。
どちらのテストが必要かについては専攻によって異なるため、事前に確認が必要です。
難解な数学、物理などを必要とする理系を専攻する場合以外は、General Testのスコアのみが必要となるため、覚えておきましょう。
スコアは260点から340点で算出される
GREの総合スコアはVerbal(英語)とQuantitative(数学)のスコアによって決まります。
VerbalとQuantitativeの130点〜170点の間で採点されたスコアの合計が大切になります。
平均スコアは、Verbalが約150点で、Quantitativeは約153点です。
なお、Writingのスコアは算出されるものの、総合スコアとしてはカウントされません。
ただし志望校にはWritingのスコアも一緒に送付されるため、気を抜かないようにしましょう!
GREの受験方法
試験の申し込み方法
GREの申し込みは、GREのホームページから行います。
手順は以下のとおりです。
- アカウント作成
- 試験会場と日時を確認する
- 受験料の支払いをする
1.「Create an Account」からアカウント作成する。
アカウントに登録するプロフィールと受験予約者名、身分証明書の名前や生年月日などはすべて同一でなければなりません。
2. マイページで、最寄りの試験会場及び、日時を確認する。
試験は祝祭日を除いて毎日開催されていますが、試験開始時間については日によって異なるため、あらかじめ確認しておきましょう。
3. 受験費用をクレジットカードで支払う。
受験費用については、このあと詳しく説明します。
受験会場
2022年11月現在、日本での受験は以下の会場のみです。
- 東京:御茶ノ水ソラシティ
- 大阪:中津試験会場
受験費用
受験費用:30,410円($205)
2022年11月現在の為替レート($1=148円)で換算すると、30,410円です。
今後も円安の動きがあると受験費用もそれに伴って変動する可能性があるため、注意しましょう。
受験時の持ちもの
受験する際は、パスポートが必要です。
試験当日はパスポートを持っていくことを忘れないように気をつけましょう。
申し込み後の変更・キャンセル
受験日・試験会場の変更は、受験4日前までオンライン上で手続きが可能です。
金曜日に受験予定の場合は、月曜日までに手続きが必要になります。
受験日変更や受験会場変更にはそれぞれ $50(約7,420円)かかり、受験キャンセルの場合は50%のみが返金されます。
GREの試験内容
次に、GREの試験内容について詳しく解説していきます。
GREの試験内容と試験時間の詳細は以下となります。
- 試験内容:Quantitative(数学), Verbal(英語), Analytical Writing(ライティング)
- 試験時間:3時間45分
- 試験結果:約15日後にオンライン上で確認可能
Quantitative Reasoning(数学的能力)
問題数 | 40問(1セクション20問×2) |
問題構成 | 数量計算問 : 約14問 データ読み取り問題 : 約6問 |
制限時間 | 70分(35分×2) |
解答時間 | 1問/30分 |
Quantitative(数学)では、基礎的な計算問題が7割を占めます。
出題範囲は中学校の数学と高校の数学から一部出題されるため、中学〜高校の数学の復習を重点的にしましょう。
最初のセクションのでき次第で、2つ目のセクションの難易度が変わります。
Verbal Reasoning (言語能力)
問題数 | 40問(1セクション20問×2) |
問題構成 | 適語選択問題 :約4問 文章穴埋め問題 :約6問 長文読解 :約10問 |
制限時間 | 60分(30分×2) |
GREのリーディングはネイティブ向けの「英語ができる」前提で問題が作成されています。
そのため、ネイティブの能力に近いリーディング力が必要になります。
適語選択問題と文章穴埋め問題は、問題形式に違いはありますが、どちらも単語力が問われる問題です。
長文読解は、150語程度の文章問題と、450語程度のロングパッセージの文章問題が出題されます。
長文自体はTOEFLに比べると短めになりますが、制限時間が短いため速読力が必要です。
また、こちらも最初のセクションのでき次第で、2つ目のセクションの難易度が変わります。
Analytical Writing(分析論述)
問題数 | 2問 |
問題構成 | Issue Essay Argument Essay |
制限時間 | 60分 |
解答時間 | 1問/30分 |
Analytical Writingでは、制限時間の中で内容と量が伴った記述をすることがある程度求められます。
一般的には、500字前後程度が必要であり、最低でも4段落書くと良いとされています。
Unscored, Researchセクション
GREは6つのセクションでテストが行われますが、採点対象とされないUnscored、またはResearchセクションも含まれています。
Unscored, Researchセクションは、制限時間の明記はありません。
GREスコアの目安
次に、大学院留学に必要なスコアの目安を解説します。
志望する大学院に必要とされるスコアの目安を調べたうえで、効率的な対策をしていきましょう。
平均点は320点以上
GREは合格・不合格のラインがなく、各大学院も点数の最低ラインをとくに設けてはいません。
ただし、総合ランキングで上位30位に位置するアメリカの大学院生のGRE平均点は320以上で、30位〜60位の大学は約310点程度とされています。
自分の出願希望の大学が、どの程度GREスコアを求めているのかは必ず確認しておきましょう。
必要なスコアを認識したうえで、対策が必要なセクションはどこかを把握して勉強をすることが、高得点への近道です。
スコア換算
GREの点数をGMATに換算すると、どのくらいになるのでしょうか。
VerbalとQuantitativeの合計点が340点満点で採点されるGREに対して、GMATではVerbalとQuantitativeは合計800点満点で採点されます。
つまり満点で換算した場合、「GRE V170, Q170 = GMAT 800」ということになります。
換算イメージは以下のようになります。
- GRE V150, Q170 = GMAT 680
- GRE V160, Q150 = GMAT 530
- GRE V150, Q150 = GMAT 470
ただし、両者の試験内容はもちろん異なるため、換算結果はあくまで一例と考えましょう。
ETSの公式サイトからスコア換算ができるため、参考にしてみてください。
次は、GREの難易度をGMATと比較しながら解説していきます!
GRE GMATの難易度を比較
GREとGMATの難易度を比較してみましょう。
どちらの方が難易度が高いかというと、セクションによってそれぞれ異なります。
まずはGMATについて簡単な説明をします。
GMATとは「Graduate Management Admission Test」の略で、MBA留学を目指す方には欠かせない試験です。
単語でいうとGREの方が難易度の高い問題が出題されますが、数学はGMATの方が難易度が高いです。
また、自らの進学希望先はもちろん、自分の得意分野や苦手分野も考慮しながら両者を比較検討してみましょう。
単語力
GREはGMATに比べ、とても難易度の高い単語が出題されます。
通常のTOEFL対策をした単語量でGREに挑戦すると、知らない単語ばかりでびっくりするかもしれません。
初めてGREの問題を解くときに、半分くらいは知らない単語が出てくるのは普通と考えて良いでしょう。
リーディング
リーディングもGMATに比べると、GREの方が難しいです。
GMATは経済やビジネス関連など文系のものも多く出題されますが、GREは自然科学などの用語が難しいトピックも多く出題されます。
専門的な単語も多く登場するため、最初のうちは読み進めるのに苦労するかもしれません。
数学
数学については、GREよりもGMATの方が難しい問題が出題されます。
GREは出題範囲が広い分、数学は中学レベルのベーシックな問題が中心となります。
理系出身であればGMATの数学は点を取りやすいかもしれません。
逆に文系出身である方はこのセクションでなかなか点が取れず、苦労することも多いようです。
ロジック
ロジックについても、GMATの方が難しいです。
GREと比べると、高度なロジックと分析能力が問われています。
ロジックと数学が弱い方は、GREの受験をおすすめします。
GREとGMATの違い
GREとGMATの違いについて、両者を比較していきましょう。
GRE | GMAT | |
団体 | ETS | Graduate Management Admission Council |
対象者 | 北米大学院への進学希望者 ビジネススクール志願者 | ビジネススクール志願者 |
受験制限 | 年間5回まで 生涯の回数制限なし | 年間5回まで 生涯8回まで受験可能 |
試験内容 | Quantitative(数学) Verbal(英語) Analytical Writing(ライティング) | Quantitative(数学) Verbal(英語) AWA(ライティング) IR(総合問題) |
試験時間 | 約3時間45分 | 約3時間7分 |
スコア | 最高点170点、最低点130点 | 最高点800点、最低点200点 |
数学レベル | 中学〜高校1年生レベル | 高校生レベル |
GREとGMATはどちらを受けるべき?
GREはアメリカで文系、理系いずれもの専攻科目の修士号、博士号を取得するために必要とされるテストです。
MBAにおいては、GMAT, GRE両方のスコアを認める学校が多いですが、MBA以外の大学院は通常GREしか認めないところが多いです。
上記の違いを考慮しつつ、自分の目指す先がMBAかそうでないかで受験する対象を検討してみましょう。
また、自身の得意な分野に応じて受験対象を選ぶのも一つの選択肢です。
たとえば、単語を覚えるのが得意な方の場合は、GREを受験すると良いでしょう。
GREはVerbalの約半数の問題が単語の穴埋め問題のため、社会科学や自然科学に関する単語を中心に強化しておくと大きなアドバンテージになります。
一方、GMATは単語を知っているだけで回答できる問題は限られます。
自分の得意分野はなにか、客観的に考えてみましょう!
GREの対策ポイント
GREで目標とするスコアを獲得するためには、きちんとした対策をして臨むことが大事です。
以下で各セクションごとの具体的な試験対策について解説をします。
Quantitative(数学)
GREの数学は中学レベルのベーシックな問題が多いため、いかに早く・正確に計算できるかが鍵になります。
基本的な問題を繰り返し練習し、過去問・問題集の演習を繰り返すことで実践力を鍛えることも大切です。
間違った問題は、解答ミスの原因を分析し、同じミスを繰り返さないように対策をしておきましょう。
また、数学的な英語表現を理解することも必要です。
増減・変化の表現や、以上・以下の表現、図形に関する表現は対策必須といえます。
以下に数学で使う英語表現の参考例を挙げました。
単語・語彙 | 意味 | |
増減の表現 | be increased by 100 percent | 100%の増加。 by は変化を表す |
以上の表現 | N is not less than 10 | N ≧ 10(上式の否定) |
図形の表現 | Equilateral triangle | 正三角形 |
他にもさまざまな英語表現があるため、おさえておきましょう。
Verbal(英語)
まず試験で用いられる英単語をコツコツと覚えておきましょう。
GREで出題される単語の難易度は高いため、計画的に暗記していく必要があります。
覚える目安はTOEFL受験に必要な単語 + GRE用の単語500〜1,000字です。
もちろん、過去問・問題集を活用しての問題演習も必須になります。
解答を導き出すための過程を理解しておくことで、本番でも焦らずその過程に沿って解いていくことができます。
はじめは時間をかけずにゆっくりと解き、慣れてきたら時間をはかって問題を解くと良いでしょう。
Analytical Writing(ライティング)
まずは過去問・問題集の解答例を読みながら、問題の傾向を分析することをおすすめします。
問題の傾向をつかんだあとに、長い英文を自分で作る練習を繰り返すことで、効率的に試験対策を進めることができるでしょう。
【セクション別】GREの勉強法
続いて、セクション別にGREの勉強法について解説します。
3項目共通の勉強法として、「試験で用いられる英単語を覚える」「過去問・問題集を繰り返し解く」という2点が大きな軸といえます。
Quantitative(数学)
いきなり問題にとりかかるのも手ですが、初めのうちは解答を見ながら問題を解いていくのがおすすめです。
解法を身につける目的であれば、有効な方法でしょう。
また、計算が苦手な場合は、基礎的な計算問題に立ち返ることが大切です。
基本的な問題を確実に解答していくことが、数学攻略の鍵になります。
Quantitativeの勉強ポイントは以下の2点です。
- 計算速度が遅い:百マス計算を使って計算速度を上げる
- 基礎的な計算ができない:苦手分野がある場合は、小学生〜高校生の学習内容まで戻り勉強し直す
焦らずに、基礎をしっかりと固めていきましょう。
Verbal(英語)
問題ごとに解答ポイントがあるため、問題を繰り返し解きながら、解き方を身につけておきましょう。
Verbalの勉強ポイントは以下の3点です。
- 接続詞を見つける
- 肯定的・否定的な単語かを見極める
- 接続詞に注意する
TOEFL( IELTS )と大きく違うのは、英語の語彙力と読解力を中心に評価をされることです。
試験で問われる内容やポイントが全く異なるため、TOEFL( IELTS )に慣れている方でも注意が必要です。
問題を繰り返し解くことで、GREの問題形式に頭を慣らしていきましょう。
Analytical Writing(ライティング)
解答例文を暗記して、英作文の演習を徹底して行いましょう。
最初は簡単な英文法を用いて解答の練習をし、徐々に本番の内容に合わせていくのがおすすめです。
受け身にならず、自発的に英語が使えるようになるまで特訓することがポイントとなります。
日常で話した会話を英訳することも、有効な対策になるでしょう。
また、考えを文章にまとめていくときのポイントは、自分なりのテンプレートを作成することです。
英作文は以下のような流れで構成するとうまくまとめることができます。
- 導入
- 本文
- 結論
テンプレートを使うことで自分の頭の中が整理されやすいため、簡潔でわかりやすい英語を用いながら、論理的に文章を組み立てていくことができるはずです。
解答時間の短縮にも繋がるので、事前にテンプレートを用意しておきましょう!
GRE対策におすすめの参考書・アプリ・スクール
【参考書】大学院留学に必要な、GMAT(R) or GRE(R)テスト対策のすべて
これからGREの勉強を始める方など、初心者向けの一冊です。
試験対策には不十分ですが、GREの試験概要やGREで問われる内容をザッと把握するためには良いです。
日本語で書かれた参考書が少ない中で、初めて読む方に最適な本です。
【参考書】The Official Guide to the GRE General Test
テストを実施しているETSが出版している参考書であるため、本番に近い形式の問題を解くことができます。
試験まで時間がなく、集中的に勉強したい方におすすめです。
【参考書】Book of GRE Practice Problems (Manhattan Prep 5 lb Series)
数学を苦手とする欧米系の学生からの評価が高く、Quantitative Reasoningだけで550ページ分収録されています。
170点を目指す方用の難易度が高い問題が42問収録され、上級者向けといえます。
【アプリ】GRE Vocabulary Flashcards
magooshが出している無料のGRE対策の単語アプリで、スキマ時間に単語学習をしたい方におすすめです。
単語の学習をどこから始めればいいかわからない方は、まずこのアプリから始めてみると要領をつかみやすいでしょう。
- アプリ名:GRE Vocabulary Flashcards
- 費用:無料
- レベル:初級〜上級
【スクール】LIBERTY ENGLISH
LIBERTY ENGLISHは「国内・海外大学/大学院受験コース」を用意しているスクールです。
ネイティブ英会話の習得を目指したプログラムが組まれ、海外留学受験だけでなく、TOEFL対策も可能となっています。
無料カウンセリングと無料模擬レッスンを実施中のため、まずはお試しで受講するのもおすすめです。
【スクール】アゴスジャパン
MBAや大学院、大学留学を目指す方のためのテスト対策指導を専門にしたスクールです。
「 GRE(R)TEST対策コース」を用意しているため、GRE対策もバッチリです。
GREのVerbal無料体験も実施中のため、気になる方は試してみると良いでしょう。
【スクール】日米英語学院
日米英語学院は「GRE・GMAT対策講座・コース」を備えているスクールです。
オンラインと通学を併用してレッスンが受講できるようになっていることが特徴です。
海外留学中の方であっても、オンラインでGRE・GMAT対策のレッスンを受講できます。
GRE受験には高い英語力が必要
今回はGREの特徴や対策、勉強法について紹介しました。
GREは英語のみ勉強すれば良いものではなく、英作文作成能力や計算能力も求められる試験で、決して容易に得点できる試験ではありません。
独学での勉強だと限界があると感じる方もいると思います。
そんなときは、適切な参考書やスクールを有効に利用し、効率よく学習を行うことをおすすめします。
英語の勉強は一つの共通事項として考えて、各セクションごとの対策を模索し、自分に一番適した対策方法を見つけましょう。