「IGCSE」とは、イギリスの中等教育を基盤にした国際資格です。
その教育水準は世界中で高く評価されており、主要科目のみならず芸術などの創造的な分野も含まれている点が特徴です。
本記事では、IGCSEの基本情報からGCSEやIBとの違い、取得のメリットや難易度、具体的な取得方法、さらに取得後の進路について詳しく解説します。
海外大学への進学を目指す方やグローバルなキャリアを築きたい人にとって必見の内容です。
IGCSEとは?
IGCSE(International General Certificate of Secondary Education)は、世界中で認知されている国際的な中等教育資格で、日本語では「ケンブリッジ国際中等教育修了証」と呼ばれています。
イギリスでは、大学進学を希望する学生は通常16歳でGCSE(General Certificate of Secondary Education)を受験し、この資格を取得します。
IGCSEは、このGCSEをもとにして、国際的に通用するようアレンジされて作られている試験です。
日本国内でも一部のインターナショナルスクールで採用されています。
広い科目範囲と高い学術水準が特徴
IGCSEは、30の言語を含めた70以上の科目から、各学校が任意に組み合わせてカリキュラムを提供します。
科目範囲は幅広く、数学、英語、科学(物理、化学、生物)、歴史、地理、外国語などの主要科目だけでなく、芸術や音楽といった創造的な分野も含まれています。
一部、必修科目も設定されていますが、生徒が選べる科目もあり、自分の興味や進路に合わせて柔軟に学習できる点が特徴です。
また、IGCSEは学術水準の高さも世界的に評価されています。
単に知識を暗記する受身型の学習ではなく、論理的思考や問題解決能力を育むことを重視したプログラムとなっているため、将来の進学やキャリアにおいても大きな強みとなります。
GCSEとの違い
IGCSEは、イギリスのGCSEをベースにしていますが、いくつかの違いがあります。
英語を母国語としない生徒が受験することも考慮し、英語の古典が免除されるなどの配慮があり、体育の実技試験も免除されています。
イギリス国内では一般的にGCSEを取得しますが、学力を重視する学校では、より難易度の高いIGCSEを採用していることがあります。
これは、イギリス国内でGCSEの成績が大学入試に影響するため、GCSEよりも難易度が高いIGCSEで好成績を収めることで、入試においてのアピールポイントとなるからです。
世界中の大学で入学資格として認められている
IGCSEは国際的に広く認知されており、世界中の多くの大学で入学条件の一部として認められています。
とくに英語圏の大学では、IGCSEの成績をもとに入学選考をおこなう場合も多いです。
また、基礎教育資格として世界中の職業教育機関でも高く評価されているため、進学だけでなくグローバル社会でのキャリア形成にも役立つ資格です。
日本人学生にとってもメリットが多い
日本の教育制度では科目選択の自由度が限られていますが、IGCSEを通じて、海外の多様な分野の学びに触れられる点は日本人学生にとって大きなメリットといえます。
また、英語で専門知識を学ぶため、語学力が向上するだけでなく、異文化理解や国際的な感覚を養える点も魅力です。
IGCSEの取得は、海外への大学進学や就職を目指している日本人学生にとって、グローバル人材としてのキャリアを踏み出す大きな一歩となります。
IBとの違い
IGCSEのほかに、国際的に認められている教育プログラムとして「国際AS & A Level」や「IB(国際バカロレア)」が挙げられます。
IGCSEは、中学3年生から高校1年生に相当するレベルで、基礎的な知識やスキルを身につけることに重点を置いています。
一方、国際AS & A Levelは、高校課程の最後の2年間に相当する教育プログラムです。
これは、イギリスの高校生が対象となる「A Level(Advanced Level)」をもとに、国際的に通用するように作られています。
また、IBはスイスのジュネーブに本部を置く非営利教育機関「国際バカロレア機構(IBO)」が認定・提供する国際的な教育プログラムです。
3歳から19歳まで生徒の年齢別に合わせて、4つの異なるプログラムが提供されています。
11歳から16歳を対象とした「MYP(ミドルイヤープログラム)」、16歳から19歳を対象とした「DP(ディプロマプログラム)」があり、これらはそれぞれ中学校・高校相当の内容です。
IGCSEは、国際AS & A LevelやIBへの準備段階としても適しており、両者を組み合わせることでスムーズなステップアップが可能です。
\IBについてさらに詳しく知りたい方はこちら/IGCSEを取得するメリット
IGCSEの取得には、質の高い教育によってさまざまなスキルが養われるだけでなく、国際的な認知度を活かして進学や就職においても多くのメリットが期待できます。
続いては、 IGCSEを取得するメリットを詳しく掘り下げていきます。
教育レベルの高さ&世界中の大学へ進学できる
IGCSEは、世界的に評価されている学術水準の高さが魅力です。
講義を受ける形式だけでなく、グループワークやグループディスカッション、ディベートなどのアクティブラーニングが多く取り入れられています。
これにより、自らが能動的に行動し、学ぶスキルを養える点は、日本の教育にはない大きなメリットといえます。
さらに、IGCSEを取得することで世界中の大学への進学の道が開けます。
とくに、英語圏の大学で評価をされるだけでなく、ヨーロッパやアジアの名門大学など、幅広い選択肢が広がる点も大きな魅力です。
インターナショナル生への配慮がある
IGCSEは、国際的に通用するよう工夫して設計されています。
たとえば、英語の古典が免除されるなどの配慮があるため、英語を母国語としない生徒でも安心して学べます。
世界で通用する学力を証明できる
IGCSEを取得することで、世界で通用する学力を証明できます。
とくに英語圏の大学では、入学条件の一部としてIGCSEの取得が求められることも多く、非英語圏でも学力が高く評価されます。
さらに、IGCSEを取得していることを履歴書に記載することで、グローバルなキャリア形成においても有効なアピールポイントとなります。
IGCSEは国際的に認知されている資格であるため、海外の大学への進学や海外企業への就職において大きなアドバンテージとなります。
論理的思考力や問題解決能力を養える
IGCSEのカリキュラムでは、知識を暗記するだけではなく、学んだ知識をどのように活用するかが重視されます。
IGCSEの学習を通じて、問題解決に必要な論理的思考力など、実社会で役立つスキルを身につけることが可能です。
また、このようなスキルは、大学進学や就職など将来のキャリアにおいても活かせるでしょう。
英語力の向上に繋がる
IGCSEは授業や試験がすべて英語でおこなわれるため、自然と英語力が向上します。
アカデミックな英語表現や専門用語に触れるため、IELTSやTOEFLなどの英語試験の対策にも効果的です。
また、英語を学ぶだけでなく、英語で学ぶ環境に身を置くことで、リスニング、スピーキング、リーディング、ライティングといった総合的な英語スキルをバランスよく鍛えられます。
IGCSEの難易度
IGCSEの難易度は科目ごとに異なり、学習進度に応じて選択できます。
基礎的な内容から高度な内容まで、段階的な学習ができるため、基礎学力があれば十分に合格を目指せます。
科目ごとにレベルが設定されている
IGCSEでは各科目にレベルが設定されており、学習進度や能力に応じて選択が可能です。
レベルは基礎レベル(Core)と高度レベル(Extended)の2種類があり、得意分野をより深く学びたい場合はExtendedを選ぶのがおすすめです。
一方、苦手な分野についてはCoreを選択することで無理なく学べます。
自身のレベルに合わせて学べる柔軟性もIGCSEの魅力のひとつといえます。
基礎学力があれば十分に合格可能
IGCSEの試験は、一般的にGCSEよりも難易度が高いとされています。
ただし、授業内容をしっかりと理解して課題をこなしていれば、十分に合格できるように設定されています。
基礎学力が備わっていれば、過度に難しさを感じることはありません。
また、試験範囲や評価基準が明確なため、計画的に学習し対策することで、効率的にスコアアップを目指せます。
早期からの準備がおすすめ
IGCSEでは幅広い科目を学ぶため、できるだけ早めに準備を始めることが重要です。
試験までのスケジュールを逆算し、得意科目と苦手科目のバランスを考慮しながら勉強計画を立てることが成功のカギとなります。
また、過去問や模擬試験などを活用することで、効率的に試験対策を進められます。
IGCSEの取得方法
IGCSEの取得は、独学または専門のサポートを受けながら準備する方法があります。
続いては、IGCSEの具体的な取得方法を解説します。
独学 or サポートあり
IGCSEは独学でも取得可能ですが、試験機関が認定している学校で学ぶ方法が一般的です。
教育機関では専門のカリキュラムにもとづき、教師からサポートを受けられるため、効率的に学習を進められます。
とくに、苦手分野を克服するための具体的なアドバイスが得られる点が魅力です。
独学の場合は、自分のペースで進められるというメリットがある一方、自己管理が重要となります。
試験は年2回実施
IGCSEの試験は、毎年5〜6月と10〜11月の2回実施されます。
自分の学習ペースに合わせて、受験スケジュールを組むことが可能です。
また、複数回受験できるため、一度で満足のいく成績が得られなくても再挑戦するチャンスがあります。
IGCSE取得後の進路
IGCSE取得後は、上級資格への取得を目指したり、海外大学への進学準備をしたりと、幅広い選択肢があります。
さらに、IGCSEはグローバル企業への就職活動でも大きな武器となり、国際的なキャリアを目指すこともできます。
最後に、IGCSE取得後の進路について紹介します。
Aレベル、国際バカロレアなどの上級資格取得を目指す
IGCSEを取得すると、次のステップとして「国際AS & A Level」や「国際バカロレア(IB)」の資格取得を目指すこともおすすめです。
上級資格は世界中で大学の入学基準のひとつとして認められており、IGCSEで培った学力やスキルをさらに発展させるための基盤となります。
海外大学への進学準備
IGCSEの成績は、多くの大学で入学の際の評価基準として認められています。
これにより、アメリカやイギリス、オーストラリアなどの英語圏をはじめとする海外大学への進学の道が広がります。
また、IGCSEによって身につけた基礎的な学術スキルや論理的思考力は、海外大学での学びをスムーズに進めるための大きな強みとなります。
\海外大学への進学準備をしよう!/グローバル企業への就職活動
IGCSEは、学力だけでなく、国際的な視点や多文化理解力が身についていることを証明する資格として、就職活動でも有利に働きます。
グローバル企業では、英語力のみならず、論理的思考力や課題解決力、自主的に行動する力を求めるケースが多く、IGCSE取得者はその能力を備えているとみなされます。
とくに、外資系企業や国際機関でのキャリアを目指す場合、IGCSE取得は差別化のポイントとなります。
\海外大学卒業後の就職活動について解説!/IGCSEで未来を切り拓こう
IGCSEは、単なる学術資格にとどまらず、主体的に学習する力や問題解決力など、将来の学びやキャリアに活かせるスキルを養える貴重な機会です。
この資格を取得することで、世界中の大学やキャリアの選択肢が広がり、グローバル社会での活躍が現実のものとなります。
本記事で紹介した情報を参考に、IGCSEを通じて新しい一歩を踏み出してみてください。