みなさん、こんにちは。
イギリスのリーズ大学院で、広告とマーケティングを専攻予定のモリエリナです。
現在は、同じリーズ大学のキャンパス内でプリセッショナルコースを受講しており、大学院への進学に向けて準備をしています。
今回は、私が受講している、プリセッショナルコースについて解説します。
イギリスの大学院へ進学する前にプリセッショナルコースを受講するかどうか迷っている、という方の参考になれば嬉しいです。
プリセッショナルコースとは?
イギリスの大学院では、アカデミックな英語力が必要とされます。
たとえば、論文を執筆する際には文章の構成には決まりがあったり、日常使いする単語は避けるなど、さまざまなルールが存在します。
プリセッショナルコースでは、大学院に進学する前にさまざまな課題を通じて、アカデミックな英語とは何かを学べます。
最大のメリットは、コースを受講することでIELTSの不足点を補える、という点です。
プリセッショナルコースの特徴
今回は、私が通うリーズ大学のプリセッショナルコースをもとにお話ししています。
以下で紹介する内容は、希望する大学や大学院によって異なる場合もあります。
実際の内容については、自分が希望する大学のコース内容を確認してみてください。
進学予定の大学で受講できる
私が以前調べた大学のなかには、プリセッショナルコース修了後に同じキャンパス内で大学院の授業を受講できない学校がありました。
リーズ大学でプリセッショナルコースを受講することのメリットの一つは、同じキャンパス内で授業が受けられることです。
慣れ親しんだキャンパス内で大学院の授業を継続できることは、キャンパスの変化に伴うストレスを感じることなく、学習を続けるうえで大きな利点となると考えています。
課題が大変だけれど、自由に使える時間も多い
コース中の課題は、主に以下の2つのタイプの課題が出されます。
2つの課題
- Formative assessments
- Summative assessments
“Formative assessments” は、その週の授業のために準備しておく、自習課題や宿題のようなものです。
“Summative assessments” は、レポートとグループプレゼンテーションのことで、学期の最後の評価に繋がる課題です。
留学初期は、何を優先すべきか迷い、毎日バタバタしていました。
基本的には、1日に最大2コマの授業で、金曜日から日曜日までは授業がありません。
時間管理さえうまくできれば、課題のための時間が十分に確保でき、自由に使える時間もあります。
ネイティブスピーカーがいない
プリセッショナルコースの主な特徴として、クラスメイトにネイティブスピーカーがほとんどいないことです。
私のクラスは10人程で構成されていましたが、ほとんどがサウジアラビア出身の生徒で占められていました。
数年前までは中国人が多かったという話も聞いたこともあるため、入学年度によってもクラスメイトの編成は変わってくるのかもしれません。
イギリス留学ということで、ネイティブスピーカーと話がしたい!と思う方が多いかもしれません。
その際は、サークルに入ったり、クラス外で友人を作る必要があるでしょう。
クラスメイトのなかには、夫婦で受講している方たちもいます!
プリセッショナルコースで学ぶ内容
プリセッショナルコースでは、アカデミックな英語力を磨くための、充実した学習内容が提供されています。
アカデミックな英語力を学ぶために、授業ではどんなことに取り組んでいるでしょうか。
以下では、プリセッショナルコースで学ぶ内容について、詳しく解説します。
ディスカッション/プレゼンテーション
大学院では、レクチャーやセミナーでのディスカッションが頻繁に行われますが、自分の意見を表すことは容易ではありません。
プリセッショナルコースでは、自分の意見を積極的に表現できるようにするために、TED Talksの視聴や先生との意見交換、クラスメイトとのディスカッションをする時間が多くあります。
TED Talksは内容が難しいものもあるため、リスニングに苦戦しますが、プレゼンテーションの仕方についても参考になるため、勉強になります。
しかし、受け身の姿勢で講義を受けることが当たり前な日本人にとっては、ディスカッションやプレゼンテーションの講義を苦痛に感じることもあるかもしれません。
初めの頃は、先生から意見を求められることやクラスメイトとのディスカッションが苦痛でした。
また、自分の意見がうまく伝えられず、もどかしい思いをすることもありました。
一方で、サウジアラビアのクラスメイトたちは、積極的に意見を述べます。
最初は彼らの勢いに圧倒され、発言できなかったですが、先生が発言に苦手な生徒をサポートしてくれますし、何度も発言の機会が与えられるので、徐々に慣れていきました。
ディスカッション・プレゼンテーションの講義を通して、スピーキングとリスニングの両方の能力を磨けています。
慣れてくると「自分の意見を言おう」と思えるようになっていきますよ!
ケーススタディ
大学院では、多くのコースで修士論文の執筆を行うことになりますが、その際、守らなければならないルールがたくさんあります。
プリセッショナルコースでは、先行研究の引用の仕方や盗作にならないための方法などを学びます。
また、論文執筆のために必要となる膨大な量の文献も読む必要があります。
知らない単語が多く出てくるため、単語の意味を調べたり、重要なポイントを探し出すために何度も読み返すことがあります。
そのため、気が付いたら時間が経っていた、ということがよくあります。
クラスでは、文献を読んで自分の言葉で著者の考えをまとめる練習(Synthesize)をします。
“Synthesize” とは、複数の著者の考えを自分の言葉でまとめる練習です。
著者の意見とは違うことを述べてはいけないため、著者の言いたいことを変えずに自分の言葉で表現することは非常に難しく、今でも苦戦しています。
実際に、多くのルールを学んでいきながらコースの最後に評価の対象となる課題(Summative assessments)を仕上げ、課題を指定日までに提出することになります。
そのため、クラスで学んだことがわからないままでいると、課題の評価にも影響してくるため、気が抜けません。
しかし、最終課題を提出するまでに、何度か先生にアドバイスをしてもらえる機会があるため、心配はいません。
論文の執筆を通じて、リーディングとライティングの能力を向上させられます。
プリセッショナルコースで学ぶメリット
私がプリセッショナルコースに入って良かったと思う理由は、2つあります。
1つ目は、英語力に自信がなくても大学院を目指せる、ということです。
プリセッショナルコースは、IELTSスコアのレベル別でコースがスタートします。
クラスメイトの英語力が同じレベルのため、授業についていけないという心配はありません。
また、先生はイギリス人だけではなく、インドネシアやペルー出身の先生もいます。
第二言語として英語を学んだ先生方は、英語を習得する苦労を理解しているため、とても親身になって指導してくれます。
2つ目は、大学院に入る前からイギリスの生活環境に慣れることができる点です。
事前に言葉や食事、天気、医療システムなどを調べていても、実際の生活では自国との違いに気付かされることが多く、戸惑うことがあります。
しかし、プリセッショナルコースを経験することで、その違いに順応できます。
プリセッショナルコース期間中は、自習や課題で余裕がなくなってしまうこともありますが、大学院に進学してからの方が、より忙しくなることが予想されます。
そのため、街の様子や自分の生活スタイルを整えてから大学院生活に臨めるということは、確実に有利なスタートが切れます。
プリセッショナルコースの出願条件
プリセッショナルコースは、希望する大学や大学院に進学予定の方のために設けられているコースです。
リーズ大学のプリセッショナルコースの出願については、自分が希望するIELTSのスコアをすでに保持しているのか、いないのかで出願のプロセスが変わってきます。
出願のプロセスは、以下2つのプロセスに分かれます。
①IELTSのスコア未取得
- IELTS以外の必要書類だけでも出願可能
- IELTSのスコアを取得する
- 期日までにスコアを提出する
②IELTSのスコアを取得済み
- 必要書類と合わせて出願が可能
①の場合に合格がもらえた場合は、“Conditional offer”(条件付き合格)となります。
これは、IELTSのスコアを取得後、期日までにスコアの提出を条件とした合格のことです。
②の場合に合格がもらえた場合は、“Unconditional offer”(無条件付き合格)となります。
最低限必要なIELTSのスコアは、希望する学校によって異なります。
また、出願可能な最低スコアが4.5だったが、翌年の出願可能な条件が5.0に変わっていた、などの変動が起こる年もあります。
出願する際には、最新の出願情報を調べておきましょう!
プリセッショナルコースの期間
次に、プリセッショナルコースの受講期間について紹介します。
以下は、リーズ大学のプリセッショナルコースを参考にしています。
大学院での学位取得に必要なIELTSの総合スコア 6.5 である場合に、足りないスコアにもとづいたものです。
受講期間
- IELTSスコアが1.5足りない方:約1年間
- IELTSスコアが1.0足りない方:約9か月間
- IELTSスコアが0.5足りない方:約4か月間
- IELTSスコア取得済み:約2か月間(6〜10週間のサマーコース)
いずれの期間も、最後の約2か月間はサマーコースという名称となり、進学予定の大学院のコースによってクラス分けが行われます。
このコースは、本来プリセッショナルコースを必要としない方々も受講可能なコースです。
アカデミックな英語力を習得してから、大学院に進学したい方はサマーコースを受講すると良いでしょう。
以下では、1年間のコースを例に、コースのスケジュールを紹介します。(2022年〜2023年現在)
このスケジュールは、プリセッショナルコースの受講生のスケジュールであり、大学や大学院のスケジュールとは異なるもののため、注意してください。
- 10月〜12月中旬(1学期)
- 12月中旬〜1月末(冬休み)
- 2月〜3月末(2学期)
- 4月(春休み)
- 5月中旬まで(2学期の続き)
- 5月中旬〜6月末(休み)
- 7月〜9月中旬(サマーコース)
プリセッショナルコースにかかる費用
次に、プリセッショナルコースにかかる費用について紹介します。
以下は、リーズ大学のプリセッショナルコースにかかる費用をもとに記載しています。
費用は受講期間によって異なるため、あらかじめ自分がどのくらいコースを受講するのか確認しておきましょう。
期間 | 費用 |
約2か月間 (6〜10週間) | £3,275〜£5,460 (約57万〜95万円) |
約4か月間 | £5,870 (約101万円) |
約9か月間 | £11,330 (約196万円) |
約1年間 | £17,200 (約298万円) |
プリセッショナルコースは必要?
イギリスの大学院を目指す方にとって、IELTSの受験は避けられません。
私もイギリスに来るまでは働きながらIELTSの勉強をしていたため、仕事と勉強の両立にとても苦労しました。
大学院へ直接入学を目指そうとすると、非常にハードルが高く感じてしまいますよね。
IELTSの勉強で得られたものもたくさんありますが、IELTSはあくまで留学のための通過点です。
IELTSの勉強にばかり時間を費やしてしまうと、留学がどんどん先延ばしになってしまいます。
プリセッショナルコースでは、希望する大学院が要求するIELTSスコアを満たしている場合、本来は受講する必要がありません。
ただし、受講期間分の滞在費がかかることになります。
しかし、このコースを受講することで、着実にイギリスの学習スタイルや文化に慣れることができ、大学院進学にストレスなく臨むことができるというメリットもあります。
プリセッショナルコースという選択肢
今回は、プリセッショナルコースの特徴や授業内容、受講期間などについて紹介しました。
IELTSが障害となり留学が先延ばしになってしまい、留学したいという気持ちが冷めてしまっては本末転倒です。
リーズ大学では、授業料が年々上昇している傾向があります。
そのため、留学をできるだけ早く実現したいと考えている方は、プリセッショナルコースを経て大学院進学を目指すことを検討してみてはいかがでしょうか。
これにより、早期に留学を開始し、授業料の増加を回避できます。
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