英検準2級の筆記試験に合格し、これからスピーキングテストにのぞむ受験生の方には面接に苦手意識を持つ方もいるのではないでしょうか。
日常的に英語を話すチャンスがあまりない場合、どう対策すればいいかわからず不安に感じる方もいるでしょう。
英検準2級のスピーキングテストは英検3級と比較すると、おおまかな流れは変わりませんが、全体的に難易度が上がります。
しかし、スピーキングテストの内容や勉強のコツを押さえて学習をすれば、限られた時間でも合格に必要な力を身につけることは十分可能です。
本記事では、英検準2級のスピーキングテストの概要や対策のポイント、おすすめの参考書やアプリなどを紹介します。
英検準2級スピーキングテストの参考にしてみてください。
英検準2級のスピーキングテストの特徴
英検準2級スピーキングテストの特徴について、詳細を確認しましょう。
試験内容
英検準2級のスピーキングテストは面接官と1対1の個人面接形式で実施され、面接はすべて英語で応答しなくてはいけません。
また、面接時間は約6分です。
試験問題の構成
試験問題は音読と質問5問で構成されており、問題カードには約50語のパッセージとイラスト2枚が印刷されています。
以下の表に、設問ごとの質問をまとめました。
音読 | パッセージのタイトルと本文を声に出して読む |
No.1 | パッセージに関する質問 |
No.2とNo.3 | イラストに関する質問 |
No.4とNo.5 | 受験者自身の意見が問われる質問 |
上記に加えて、アティチュードも評価の対象となります。
準2級スピーキングテストの合格ライン
英検準2級のスピーキングテストの合格ラインは約6割です。
音読(5点)と質問(各5点×5問=25点)、アティチュード(3点)の合計33点満点のうち、20点が目標点となります。
比較的正答しやすいイラストについての質問や、アティチュード点で確実にスコアを取りましょう。
アティチュードの重要性
英検準2級のアティチュードは積極的にコミュニケーションを取ろうとする姿勢や態度が評価されます。
入室から退室するまでの挨拶や、礼儀正しい態度、質問への受け答えなどがチェックされますので繰り返し練習しましょう。
英語で伝える熱意があるかどうかが評価のポイントになりますので、面接官と積極的に会話するよう心がけましょう。
英検面接のアティチュードについては、以下の記事で詳しく解説しています。
スピーキングテストの流れ
英検準2級のスピーキングテストの流れについて、入室から退室まで詳しく見ていきましょう。
入室から試験開始まで
入室する際はドアを数回ノックしてから入ります。
面接官から「Hello.」などと、挨拶されたら、明るく挨拶に応じてください。
次に面接官から「Can I have your card, please?」などと声をかけられますので、「Yes.」と返事して問題カードを渡します。
面接官から座るように指示されたあとに席につくようにしてください。
面接官が「受験者の氏名」「受験する級」を確認しますので、しっかりと答えるようにしましょう。
面接官から「How are you?」などと声をかけられたら、「I’m fine.」「I’m good.」など自然に会話することが大切です。
問題カードを受け取る
面接官から問題カードが手渡されます。
カードを受け取ると、いよいよスピーキングテストがはじまります。
問題カードの黙読と音読
問題カードを受け取ったら、20秒間でパッセージを黙読し、そのあとに音読するという流れになります。
黙読と音読でのポイントは以下のとおりです。
黙読
先述でもお伝えしましたが、黙読時間は20秒です。
みじかい時間なので、単語一つひとつの意味を読み取ろうとするのではなく、全体の意味をおおまかに理解するようにしましょう。
黙読時間は、音読やQ&Aのための準備時間と考えてください。
音読
音読ではタイトルからパッセージの内容すべてを読み上げます。
はっきり、ゆっくりと読むように意識することが大切です。
カンマやピリオドのあとは、落ち着いてひと呼吸おくようにしましょう。
英語の音読では、抑揚やアクセントをつけるように読むのがポイントです。
日本語と英語では発声方法が異なります。
日本語は、のどに力を入れて発声することが多いですが、英語はお腹から息を吸って発声する傾向があります。
できるだけネイティブスピーカーのように、お腹から声を出すように意識して音読してみてください。
Q&Aに答える
黙読と音読の次は面接官からの質問に答えるQ&Aの問題です。
No.1〜No.5までの質問について内容を確認しましょう。
No.1
No.1では音読したパッセージの内容について質問されます。
問題カードを見ながら解答する問題です。
面接官から「According to the passage~」に続いて、「Why~?」や「How~?」と質問されますので、パッセージの中から答えに該当する箇所を探して答えます。
No.2とNo.3
No.2とNo.3は 問題カードに印刷された2枚のイラストに描かれた内容を説明する問題です。
問題カードのイラストを見ながら答えましょう。
No.2はイラストAに描かれた複数の人物が何をしているのか、No.3はイラストBの登場人物が置かれている状況についてそれぞれ説明します。
No.3の解答が終わると、「Please turn over the card and put it down.」と、問題カードを裏返すようにうながされますので、面接官の指示にしたがってください。
No.4
No.4は問題カードのイラストのトピックに関連した内容の質問について、自分の意見を述べる問題です。
基本的に「Do you think~?」と聞かれますので、自分の意見を考え「Yes.」か「No.」で答えます。
面接官から「Yes.」と答えた場合は「Why?」、「No.」と答えた場合は「Why not?」と理由を問われますので、続けてその理由を答えます。
No.5
No.5では問題カードの話題とは関連がない内容について質問されます。
「There are~」「These days,~」などから始まり、その後「Do you〜?」と「Yes.」か「No.」で答える質問がされます。
トピックの多くは身近な日常生活についてです。
「Yes」と答えた場合は「Please tell me more.」、「No.」と答えた場合は「Why not?」と自分の意見の理由が問われます。
「I think~」といった表現を使って、自分の意見を述べるようにしてください。
問題カードを面接官に返す
質問が終わったら、面接官から「Could I have the card back, please?」などと、問題カードを返すようにうながされます。
「Here you are.」と答えながら返却しましょう。
問題カードを返すときも無言で返すのではなく、返事や応答することでアティチュード点を取れる可能性があります。
退室
席を立ち、忘れ物が無いように注意して退室します。
「Thank you.」「Good bye.」などと挨拶してから部屋を出るといいでしょう。
退室するまでが評価の対象となりますので、完全に部屋から出るまでは気を抜かないようにしてください。
Q&Aの注意点
英検準2級では3級に比べ、質問の文章量が増えます。
質問のNo.2、イラストの人物の行動を説明する問題では、3級は一人の行動について述べればよいのに対し、準2級は複数人の行動について説明する必要があるのが特徴です。
No.4とNo.5の自分の意見を問われる問題では、自分の意見の理由について2文以上で答える必要があり、スピーキングに必要な語彙数が増えていて、難易度が高くなっています。
また、英検3級のレベルについては、以下の記事をご覧ください。
スピーキングテストの対策ポイント
スピーキング試験で確実に合格するための対策ポイントや面接で実際に使えるフレーズについて紹介します。
入室~退出時のポイント
入室〜退出時のポイントは、上述で解説したようにアティチュード点を取れるように意識することです。
積極的に英語でコミュニケーションをとることが評価のポイントになりますので、ここではスピーキングテスト内で使えるフレーズを場面ごとに紹介します。
問題の話しはじめで使えるフレーズ例
No.5では自分の意見の理由について問われます。
以下のようなフレーズを使って話し始めるといいでしょう。
- I think that〜
- I believe that〜
- In my opinion,
会話を繋げるためのフレーズ
スピーキングテストの場面では、何を喋れば良いのか考えてしまい、言葉につまってしまうこともあるでしょう。
そんな時は無言で考えるのではなく、会話を繋げるためのフレーズを言うようにすると面接官の印象がよくなります。
- well…
- Let me see…
聞き返したいときに使えるフレーズ例
スピーキングテストでは面接官からの質問や、指示がよく聞き取れないこともあります。
何度も聞き返すのはよくありませんが、一度聞き返すのは問題ありません。
聞き返したいときに使えるフレーズを紹介します。
- Pardon?
- I beg your pardon?
- I’m sorry but could you say that again, please?
話している内容をまとめたいときのフレーズ例
スピーキングテスト中は英文がスムーズに思い浮かばないということがよくあります。
何とか英語で話をつないだものの、少しチグハグな内容になってしまった。
そんな時には、話している内容をまとめ、自分の考えを伝えられるフレーズが便利です。
- Anyway,
- That is why,
例文
“Anyway, I think that vegetarian food will be more popular in the future.” 「とにかく、そういったことでベジタリアンフードは将来的にもっと人気が出ると私は思います。」
“That is why I think that many students study abroad more.” 「そういった理由で、私はよりたくさんの学生が海外で勉強するようになると思います。」
黙読と音読のポイント
黙読と音読の際に注意してほしいポイントを解説します。
黙読
黙読ではまずタイトルに注目しパッセージが何について書かれた文章なのかを把握します。
そのあと、本文に目を通すようにしてください。
「No.1」の質問の対策として、黙読の際に解答のヒントとなる特定の語句や、主語・述語の関係に注目して読むようにします。
解答のヒントとなる特定の語句の例
- in this way
- by doing so
- so
音読
音読ではあせらずゆっくりと大きな声で読むことが大切です。
もし読み間違えてしまったときは、落ち着いて読み直すようにしてください。
読み方がわからない単語が出てきてしまったら、想像でいいので堂々と読み切ることが大切です。
自信がなくても、無言になったり、小さい声になったりすることがないようにしましょう。
No.1
No.1では、「According to the passage, 」の後に「Why~?」や「How~?」ではじまる質問がされます。
ここでは黙読中に確認した「in this way」「by doing so」「so」の前に書かれている文章に注目してください。
No.1の質問の答えはこれらの語句の前に書かれていることがほとんどです。
質問が 「Why~?」ではじまるときは「Because~」、「How~?」ではじまるときは「By Ving~」(Vは動詞)の形で答えましょう。
No.2
No.2のイラストの人物の行動を聞かれる質問では、現在進行形を活用したシンプルな文章をつくることを心がけてください。
複数の人がそれぞれ別のことをしているので 「誰が」「何を」「どうしている」という形にして答えましょう。
“A man is walking his dog.” “A woman is riding a bicycle.”
上記の文章はあくまで例ですが、できるだけ多く説明していきましょう。(最大5種類)
No.3
No.3のイラストの人物が置かれている状況を答える質問の出題パターンは主に2つです。
①「何かをしようとしているが、障害があってできない状態にある」 ②「何かの状態に対して、何かのアクションを起こそうと思っている」 ①の「何かをしようとしているが、障害があってできない状態にある」なら「A because B」 ②の「何かの状態に対して、何かのアクションを起こそうと思っている」なら「A and B」や「A so B」の英文の型で答えると良いでしょう ①のパターン(英検協会のサンプル例文) “She can’t buy a drink because there are a lot of bicycles (parked) in front of the (vending) machine.” 「彼女は飲み物を買いたいのですが、自動販売機の前にたくさんの自転車が停められていて買えません。 ②のパターン “He left his bag in the taxi, so he is running after the taxi.” 「彼はタクシーに鞄を忘れてしまったので、タクシーを走って追いかけている。」
No.4とNo.5
質問No.4とNo.5では受験者自身の意見が問われます。
最初の質問には「Yes.」か「No.」で答え、その後にその理由を問われるので、かならず2文以上の英文を使って答えるようにしてください。
「A~,also B~」「A~,B~」など、英文の型を使うと良いでしょう。
文章の内容に関しては、整合性が多少取れていなくても問題ありません。
自信を持って堂々と答えましょう。
合格するためのスピーキングテスト対策とは
英検準2級に合格するための鍵となる、スピーキング対策について解説します。
過去問・問題集を使い声に出して練習する
英検協会のHPで公開されている過去問や、市販の問題集のサンプル問題を使い、繰り返し問題演習しましょう。
イメージトレーニングではなく、かならず声に出して解答するよう練習してください。
繰り返し練習することで、試験本番でも慌てずに落ち着いて質問に答えられるようになります。
発言・質問に対する返答を心がける
面接官の発言や質問には必ず応答するようにしましょう。
無言は減点対象となってしまいます。
「Thank you.」「OK.」「Yes.」など、簡単なフレーズでいいので、面接官から話しかけられたら、何らかのリアクションを起こすように心がけてください。
スピーキングテスト直前対策は何をすべき?
スピーキングテスト直前対策で、効果的なものを3つご紹介します。
鍵となる表現を覚える
No.1の質問はテンプレート化しています。
そのため、答えの鍵となる表現の直前に記載されている文章に注目すれば答えられます。
鍵となる表現は「in this way」「by doing so」「so」「by doing so」 などです。
音読について振り返る
問題文の音読がゆっくり、はっきり、リズムよく読めているか確認しましょう。
タイトルから読むことも忘れないようにしてください。
質問に対する答えはシンプルか確認する
No.4とNo.5の自身の経験や意見を問われる質問に対する解答は、シンプルさが重要です。
問題集に書かれた問いに対して、シンプルで相手に伝わりやすい英語で答えられているか確認してください。
英検準2級スピーキング対策におすすめの参考書とアプリとは?
英検準2級スピーキング対策におすすめの参考書とアプリを紹介します。
英検協会公式の過去問対策
英検協会のHPでは、英検準2級スピーキングテストの問題と解答のサンプルが無料で公開されています。
英検バーチャル二次試験のページでは、スピーキングテストの準備、入室から退室までの流れが動画で確認でき、面接官との会話、応答も含めた全体の流れを把握できます。
ぜひ、対策に役立ててください。
10日でできる! 英検準2級 二次試験・面接 完全予想問題
旺文社の英検準2級スピーキングテストに特化した問題集です。
10日分の面接カードのサンプルと解答例、音声が収録されたCDが入っており、しっかりとスピーキングテストの準備ができます。
面接カードのサンプルは切り離せるようになっており、本番同様に練習できるのが特徴です。
DVDでは試験会場到着から会場を出るまでの流れを映像で確認でき、スピーキングテスト当日の様子がしっかりシミュレーションできるようになっています。
また、映像はPC、スマートフォンでも視聴可能です。
英検準2級 面接大特訓
英検準2級のスピーキングテスト合格に必要な力を身につけるための本格的な対策本です。
短文の練習は進行形、状況描写、社会問題、パーソナル問題に分かれており、各質問に答える力がしっかりと身につく内容になっています。
模擬試験が11回分掲載されており、面接本番まで何度も繰り返し練習できます。
こちらの対策本はCD2枚がついており、音声ダウンロードも可能です。
Duolingo
Duolingoは世界でもっともダウンロードされている無料の外国語学習アプリです。*一部有料
ビジュアルがシンプルで可愛らしく、お子さんでも無理なく継続して取り組めるように工夫されています。
英語の文法、単語、発音、リスニング、英会話などをゲーム感覚で楽しく学べるのが特徴です。
AIの音声認識でスピーキングの練習ができる機能もあるので、スピーキングテスト前の発音練習に活用しても良いでしょう。
スタディギア for EIKEN
英検公式の学習サービス、スタディギアEIKENのアプリです。
英単語や文法、リスニング、リーディング、過去問など英検公式ならではの、豊富なコンテンツで英検対策ができます。
会員登録すれば無料で利用できるライトプラン、英検を申し込んだ方なら無料で利用できるベーシックプラン、月額3,980円で利用できるプレミアムプランがあります。
ベーシックプランは問題数に制限はありますが、全種類のコンテンツが利用できます。
英検の受験を控えている方には、ぜひおすすめしたいアプリです。
Quizlet
クイズレットは英検対策にも活用できる無料の単語学習アプリです。*こちらも一部有料
自分専用の単語カードのセットを作ったり、他の使用者が作った単語カードで自由に学習したりできます。
たとえば「英検準2級」と検索すると英検準2級で使われる単語の学習セットが出てくるので、それを使った単語学習が可能です。
作成した単語帳には音声がついており、単語の読み方が確認できます。
クイズレットの詳しい使い方や機能については、こちらの記事をご覧ください。
まとめ
今回は、英検準2級のスピーキングテストの流れや重要ポイント、直前対策としてやるべきこと、おすすめの参考書からアプリまでを解説しました。
準2級スピーキングテストの出題形式、内容は3級のスピーキングテストと共通している部分が多く存在しています。
トピックや質問文の文章量が増え、2文以上で答えなければいけない質問があるなど、難易度は上がります。
英検の過去問や問題集を使い、しっかり対策してからテストに挑むようにしてください。
本記事で紹介したスピーキング対策のポイントに注意しながら何度も対策し、英検準2級に合格しましょう。