- 初めて英検1級を受験するが、2次試験の内容は他の級と違うの?
- 1級の1次試験には合格できたけど、2次試験の対策がわからない
英検最高峰で最後の難関であるスピーキングテストの対策準備をすすめるにあたって、上記のように不安を持たれている方は多いと思います。
誰でも、はじめてのときは要領がわからなくて不安になります。
また、英検最後のテストとなれば緊張も大きくなるでしょう。
本記事では、英検1級スピーキングテストの試験概要や勉強方法について紹介しています。
1級をはじめて受験する方はもちろん、何度か受験している方にも参考になる内容となっています。
この記事を読んで、合格に向けて対策をおこないましょう。
英検1級スピーキングテストの特徴
英検1級の2次試験では、どのような内容が問われているかを解説します。
まずは、テスト全体の流れと概要をつかんでおかないと、対策プランを立てられません。
しっかりと理解してから、勉強しましょう。
試験内容
試験内容は個人面談の形式でネイティブ1人、日本人1人の面接官に対してスピーキングをします。
面接時間は約10分間です。
日本人の面接官はタイムキーパーを兼ねていることが多く、スピーチの準備中やスピーチの際に、ストップウォッチを見ながら時間を教えてくれます。
試験問題の構成
着席後に渡されるトピックカードを基にスピーチをします。
トピックは下記のように幅広く出題されます。
- 社会
- 経済
- 文化
- 教育
- 科学技術
トピックカードに書いてある5つのトピックから1つを選択し、選んだトピックについてスピーチをします。
また、トピック内容に関して5つほどQ&A(質疑応答)がおこなわれます。
スピーキングテストの合格ライン
英検1級の一次試験に合格するためには、850満点中602点以上、7割が合格ラインです。
合格ラインはあくまで目安
2015年度までは英検ホームページで発表される素点以上であれば合格でした。
しかし2016年からCSEスコアという、素点だけではなくさまざまな要素で構成される指標をもとに合否を判定するようになりました。
CSEスコアでは1問あたりのスコアが決まっていないため、明確な合格点はわかりません。
計算方法の詳細がわからず、あまり気にしても仕方がないので、大まかに「全体の7割取得で合格」と参考程度に知っておくくらいで良いでしょう。
スピーキングテストの評価基準
スピーキングテストで評価される分野を、評価ポイントとともに解説していきます。
分野 | 満点 | 評価ポイント |
Short Speech | 10 | 与えられたトピックの中から一つを選び、論点とその根拠をまとめ首尾一貫したスピーチを組み立てることが求められます。 |
Interaction | 10 | 面接委員とのやり取りの中で、それぞれの質問に対して臨機応変に対応し、会話を継続することが求められます。 |
Grammar and Vocabulary | 10 | 面接を通して、幅広い語彙・文法を正確かつ適切に運用することが求められます。 |
Pronunciation | 10 | 面接を通して、発音・アクセント・イントネーションを正しく運用することが求められます。 |
1級の2次試験は他の級と評価基準が一部異なります。
評価基準を例にすると、応答内容、発音、語彙、文法、語法、情報量が評価されますが、1級では情報量がありません。
評価ポイントが少ない分、それぞれがより高い基準で評価されます。
SHORT SPEECH:スピーチの論点と根拠、テーマが一貫している INTERACTION :質問に対して臨機応変に応答し、会話を継続できる GRAMMAR AND VOCABULARY :面接を通して、幅広い範囲の語彙・文法を正確かつ適切に運用している PRONUNCIATION:発音・アクセント・イントネーションを正しく発声できているかを確認している
アティチュード評価について
準1級までの2次試験ではアティチュードも評価ポイントでしたが、1級では評価対象に含まれていません。
アティチュードとは、試験に臨む姿勢のことを指し、独りよがりな言動や試験にそぐわない行動をすれば全体の点数に影響があります。
配点は全体の10%で、決して少なくはない数値です。
1級の2次試験では評価対象ではないとはいえ、アティチュードを意識してテストに臨むことは大事です。
面接試験を受験するにふさわしい態度を心がけないと、面接官の印象が悪くなり、全体の評価に響く可能性があるためです。
アイコンタクトを意識する、落ち着いて堂々と話す、など人と話すときに気をつけるポイントさえ押さえれば問題無いでしょう。
英検アティチュードについては、以下のページでもご紹介しています。
こちらもぜひ、参考にしてください。
スピーキングテストの流れ
ここではスピーキングテスト本番の流れを説明します。
10分間のテスト本番をポイント別に紹介しますので、テストの雰囲気を理解するとともに、対策を考えましょう。
入室から試験開始まで
受付を済ませたら指示があるまで控室で待機します。
このときに面接カードを渡されるので、氏名や個人番号など必要事項を記入し待ちましょう。
時間になったら係員が面接室へ案内してくれます。
控室には戻らないので、荷物はすべて持って移動しましょう。
入室
ドアをノックし、「Please come in」など入室を促されたら「Hello」などあいさつをして入室しましょう。
面接官の近くまで行き、「Please have a seat.」と言われてから着席します。
面接カードを渡す
着席すると面接カードを渡すように指示があります。
「Here you are」と言ってからカードを渡しましょう。
自己紹介、面接官と日常会話を交わす
試験開始前に、簡単な自己紹介や当日どうやって会場に来たか、など聞かれます。
笑顔で話すなど、良い姿勢や態度を意識して答えましょう。
ここでの会話は採点の対象ではありませんが、印象が悪いと採点内容に影響するかもしれないということを、常に意識してください。
トピックカードを受け取り試験開始
面接官からトピックカードを受け取り、「Let’s start the test.」と言われたら試験がスタートします。
トピックカードには5つのトピックが書いてあります。
「This is your card.」と言われカードを渡されます。
「Thank you.」と返事をし、受け取りましょう。
スピーチ内容を考える
面接官の合図のあと、1分間でトピックを選びスピーチ内容を考えます。
このあいだ、メモを取れません。
トピック選びで時間が掛かってしまうと、スピーチ準備の時間が足らなくなる恐れがあります。
目安としては、10秒でトピックを選び、50秒でスピーチを考えれば良いでしょう。
10秒でトピックを選ぶために、すべてのトピックを検討するのではなく、どんなトピックでも最初に書いてあるものを選ぶ、上から3つまでのトピックで選ぶなど、自分ルールを決めておくと時間短縮ができます。
スピーチ
準備時間が過ぎると、面接官から「One minute has passed.」と声が掛かります。
もう一人の面接官が「Which topic did you choose?」と聞いてくるので、選んだトピックを答えます。
「You have two minutes. Please begin.」いわれたら、スピーチ開始です。
2分以内に、まとめたスピーチ内容を発表します。
制限時間を過ぎると、スピーチの途中であっても終了されますので注意しましょう。
その際、言い掛けていた話の内容までは話し切ることができます。
2分のスピーチはおよそ200ワードで、A4半分程度の原稿と同等です。
ネイティブがニュースで話すスピードが200ワード / 分なので、その半分のスピードで話せば分かりやすく聞こえるでしょう。
スピーチのQ&A
スピーチ終了後、面接官から「Have you finished?」とスピーチが完了したか聞かれます。
返答後、受験者のスピーチに基づく質問が5問程度されます。
それぞれの質問に対して3-4センテンスで答えましょう。
質問が聞き取れなかったら、「I beg your pardon?」や「Can you repeat your question?」と丁寧に聞き返せば問題ありません。
ただ、何度も聞き返すと質問が理解できていないと見なされ、減点対象となりますので注意が必要です。
意地悪な質問や答えにくい質問が来るときもあります。
英検は英語の試験であってディベートの試験ではありません。
「That’s a very good point.」など相手の主張を認めた上で自分の解答の根拠を説明しましょう。
体験談を交えて話すと説得力が増して高評価を得るチャンスです。
トピックカードを返却
5問程度のQ&Aのあと、「May I have the card back, please?」と聞かれるので、面接官にトピックカードを返却します。
これで試験が終了です。
退室
面接官に退室を促されたら、「Thank you」などあいさつをして退室します。
完全に退室するまで気を抜かずに良い態度を心がけるようにし、笑顔でコミュニケーションを取るよう意識します。
トピック対策のカギ
スピーキングテストで出題されるトピックは下記のように広範囲に及びますが、ある程度どんなトピックでも対応出来るように日頃から情報収集に努めて自分の意見をまとめておきましょう。
出題されるトピックが広範囲である一方で、試験本番での準備時間は1分ほどしかなく、トピック選びの時間は限られています。
1分間ですべてのトピックに目を通して選択しようとすると、悩んでしまい時間が足りなくなるリスクがあります。
ある程度どのジャンルが出題されてもいいように、ジャンルごとにいくつかの解答パターンと、使いまわしのできるフレーズを覚えて柔軟に対応できるようになりましょう。
以下にジャンル別のトピックを紹介しますので、参考にしてください。
国際関係ジャンル
・What role should the United Nations play in international politics?
・Would it be worthwhile for the global economy to have a single world currency?
・Can human society evolve from using war and violence to settle disagreements?
政治・経済ジャンル
・Do the rich have a responsibility to help the poor in society?
・Agree or disagree: The Olympics have become too commercialized?
・Is Japan doing enough to protect the privacy of its citizens?
・Agree or disagree: The media should identify perpetrators of juvenile crime
教育ジャンル
・Is tradition always worth preserving?
・Should students be asked to evaluate their teachers?
・Agree or disagree: Studying science at university is a waste of time.
環境問題ジャンル
・Is fossil fuel becoming obsolete?
・Is enough being done to protect the world’s natural resources?
・Is vegetarianism the key to the sustainability of our planet?
医療ジャンル
・Should the government give more aid during the coronavirus pandemic?
・Will humanity be able to keep up with infectious diseases in the future?
・Do Japanese companies take mental health issues seriously enough?
スピーチ・Q&Aで使えるフレーズを覚える
トピックに対する立場(肯定・否定等)を表明するとき、Q&Aで返答に詰まった場合など、使えるフレーズを覚えましょう。
イチから考えると、本番での緊張からうまく返答ができないことがあるからです。
各ジャンルで作った練習スピーチを丸暗記するよりも、いくつかの定型文を覚えたうえで状況に応じて組み合わせる方が効率的に学習できますし、なにより本番での時間ロスがありません。
まずは下記に紹介する定型フレーズを覚えましょう。
立場を表明するときに使えるフレーズ例
- I am going to speak in favor of
- I am going to speak against
理由を挙げるときに使えるフレーズ例
- There are …… reasons to support my position.
- Let me explain my position by providing …… reasons.
意見を述べるときに使えるフレーズ例
- In my opinion,
- I personally think 〜
スピーキングの対策ポイント
スピーキングにはいくつかの対策ポイントがありますので、代表的なものを2つ紹介します。
英文の作成スキルを向上させる
英文作成スキルを上げることは、スピーチ内容をまとめる力が上がることを理解しましょう。
ライティングとスピーキングは一見すると違うスキルに見えますが、実は共通する点が多いのです。
ライティングを強化することで、スピーキングの練習になりますので、遠回りと思わず取り組みましょう。
ライティングを練習する際は、文章全体を以下3つのポイントに気をつけて作文してください。
- Introduction
- Body
- Conclusion
こちらは2次試験のスピーチでも使えるポイントです。
覚えてしまえば1次のライティングと2次のスピーキング両方の強化ができ、スコアアップが期待できます。
過去問、参考書を用いて復習する
過去問・参考テキストを使い、本番を想定したスピーチの練習をしましょう。
実際に発声し、アイコンタクトを取るようにしましょう。
また、繰り返し学習してください。
練習をするときは時間感覚を身につけるため、時間を計測する方がいいです。
120秒よりも少し短い110秒くらいの感覚を覚えましょう。
10秒ほど余裕があれば、言葉に詰まっても焦ることはありませんし、10秒短くても採点には影響しません。
他にも、BHブログでは英検1級について紹介しています。
こちらもぜひ、参考にしてみてください。
スピーキング対策に適した参考書・アプリを紹介!
次に、スピーキング対策に適した参考書・アプリを紹介します。
英検1級 面接大特訓
3部構成になっていて、1章では面接の概要や勉強方法、面接で出題されることの多いジャンルランキングを紹介しています。
2章では面接で使える短文フレーズを紹介し、3章ではスピーチ→Q&Aと本番に即した内容で学習できます。
CDとフラッシュカード付きで、本での学習が終わったあとも独学がしやすい工夫があります。
2022年度版 英検1級 過去6回全問題集
英検1級2次試験の過去6回の問題を収録した問題集です。
過去問を学習することで、出題のトレンドを理解し対策を取りやすくなり、問題数が多いので実力を測る上でも有効です。
最短合格!英検1級 英作文問題完全制覇
英作文を鍛えることで、1次試験のライティングと2次試験のスピーチ両方の対策が取れます。
本書は社会問題や国際問題など英検2次で出題されることの多いジャンルから30問収録しているので、練習問題には最適です。
英語アプリ:mikan
中学生、高校生から社会人まで、レベルに合わせた単語学習が可能です。
無料版でも十分学習できますが、有料版だと15,000問以上の練習問題を学習できるので、スキマ時間の学習にはピッタリのアプリです。
英語アプリ:英検でる順パス単
英検学習の定番「英検でる順パス単」のアプリ版です。
過去5〜10年の英検過去問を徹底分析して、出題されることが多い単語を順番に掲載しており、英検に向けた効率的な学習が期待できます。
1日30問までなら無料で単語テストを使えます。
まとめ
英検1級のスピーキングテストの内容は、スピーチとスピーチに対する質疑応答のみのシンプルなものですが、スピーチをまとめる力や質問に答える力といった、今までの試験とは違うスキルが必要とされます。
勉強するときは実際に声を出し、試験本番を想定した練習をしましょう。
頭で考えるだけではとっさに発音がしにくくなることがあります。
英検1級は、英検の中でもかなり難易度の高い試験になります。
1級の対策や学習は全力で取り組むようにしましょう。