TOEICのPart2は、リスニングセクションで唯一、写真もテキストも印刷されていないパートです。
問題文、選択肢はすべて読みあげられるため、問題用紙から得られる情報はなく、苦手な方もいるでしょう。
リスニングに苦手意識がある方は恐れがちですが、実はそれほど難しくないのも事実です。
この記事では、Part2の出題パターン、おすすめ教材、対策方法について解説します。
実は得点しやすいパートなので「苦手だから…」と諦めてしまうのはもったいないです!
TOEICのPart2とは
Part2はQ7-Q31まで全25問の応答問題になっています。
流れてきた音声に対して、もっとも適切な返答を3つの選択肢から選ぶ問題です。
問題文と3つの選択肢は問題用紙に書かれておらず、再生も一度のみになります。
流れは以下のとおりです。
- Part2の説明
- Q7の問題文が流れる
- Q7の選択肢が流れる
- マークシートに解答を記入
- Q8へすすむ
Q8以降は2~5を繰り返していくイメージです!
難易度はそれほど高くない
TOEICはリスニング、リーディングともに後半に向かうにつれて問題形式の難易度が高くなります。
リスニングでいえば、Part3やPart4では難易度の高い文法や語句が使用されるため、 初心者~中級者の場合、スクリプトを読んでも理解できない問題も出てくるでしょう。
しかし、Part2は全部で4つあるパートの序盤であるため、難易度は比較的低いです。
上級者はもちろんのこと、初心者もできる限り得点を稼ぐセクションにしていきたいですね!
ひっかけ問題が多い
Part2のポイントは「ひっかけ問題が多い」ということです。
言い換えるならば、英語自体はそこまで難しくありません。
学習の際には、どのようなパターンでひっかけているかを確認することが大切です。
出題パターンとひっかけポイント
前述のとおり、Part2の対策ではひっかけパターンを把握することが重要です。
多くの問題で出題パターンとひっかけポイントは共通しています。
また、必要とされる文法レベルや語彙力はそれほど高くないため、出題パターンを網羅できればそれだけでも満点に近づくでしょう。
以下では、Part2で出題される6つの出題パターンについて解説します。
出題パターン | 問題数 |
Wh/How疑問文 | 8~13問 |
Yes/No疑問文 | 4~8問 |
平叙文 | 1~6問 |
否定疑問文 | 1~4問 |
付加疑問文 | 1~3問 |
選択疑問文 | 1~2問 |
合計 | 25問 |
Wh/How疑問文
「5W1H」が先頭にくる疑問詞型の疑問文です。
”Where is the meeting going to be held?”(どこでミーティングは行われる予定ですか?)のように5W1H(When/Where/Who/What/Why/How)の疑問詞がセンテンスの冒頭にきます。
そのため、疑問詞を聞きとれれば、どのような解答が適切かをすぐに推測できます。
~サンプル問題~
Where is the meeting going to be held?
A. It’s Bob.
B. at 2pm.
C. at the room A.
解答:C
「どこでミーティングが行われる予定ですか?」という質問に対して、Cの「Aの部屋です」がもっとも適切な回答です。
Wh/How疑問文における定番のひっかけポイントは、疑問詞の聞き間違いです。
上の問題では”When is the meeting going to be held?”と考えてしまうと、Bを選んで不正解になってしまいます。
とにかく最初の疑問詞をしっかりとつかんで、もっとも合致する選択肢を選んでいくようにしましょう!
Yes or No疑問文
Is〜?/Do〜?/Have〜?など、YES or NOで答えられる疑問文です。
~サンプル問題~
Have you contacted your client already?
A. Yes, it’s next to the park.
B. No, I’m looking for their number.
C. I’ve just finished a project.
解答:B
「すでにクライアントに連絡しましたか?」という質問に対して、Bの「いいえ、彼らの電話番号を探しています。」がもっとも適切な回答です。
上の問題はシンプルなパターンですが、以下のようなひっかけパターンもあります。
~サンプル問題~
Are you driving to the client meeting?
A. Oh, would you like a ride?
B. Yes, it is mine.
C. I think it went well.
解答:A
「クライアントのミーティングに車で行きますか?」という質問に対して、Aの「あぁ、乗っていきますか?」がもっとも適切な回答になります。
問題のタイプとしてはYes or No疑問文ですが、かならずしもYesかNoで答える選択肢が正答になるわけではありません。
YESやNOだけにとらわれず、その後ろに来る内容が文脈的に合っているかもポイントです!
平叙文
平叙文とは、疑問文や命令文ではない、シンプルなセンテンスです。
~サンプル問題~
I’m going to buy a new bike.
A. How did the meeting go?
B. There is a huge pool.
C. That sounds great!
解答:C
「新しい自転車を買う予定です。」という文に対して、Cの「それはいいね!」がもっとも適切な回答です。
平叙文への主な返答方法は、以下の4つです。
- 賛成:That sounds great!「それはいいですね!」
- 反対:I don’t think you should buy it.「それを買うべきではないですよ。」
- 質問:What type are you going to buy?「どんな種類を買うのですか?」
- 感想:I bought a new bike too.「私も新しい自転車を買いました。」
正答以外の選択肢は文脈的に的外れな内容になってしまうので、しっかり聞きとれればひっかかるポイントはないでしょう!
否定疑問文
否定疑問文とは、Don’t you〜 や Isn’t it〜のような否定から始まる疑問文です。
~サンプル問題~
Don’t you agree with him?
A. No, I think he is wrong.
B. He likes talking.
C. Why were you absent from the meeting?
解答:A
「彼に同意しないですよね?」という疑問文に対して、Aの「はい、彼は間違っていると思います。」がもっとも適切な回答です。
否定疑問文のポイントは答え方です。
日本語では「彼に同意しませんよね?」ときかれて、彼に同意しない場合は「はい、しません。」と返します。
つまり、相手の訊き方に対して同意するなら「はい」、同意しないなら「いいえ」です。
一方、英語では通常の疑問文も、否定疑問文も答え方は同じです。
相手の訊き方にかかわらず、ある疑問に対して、肯定するときは “Yes” で、否定するときは “No” です。
否定疑問文ではYesとNoの使い分けに注意!
付加疑問文
付加疑問文とは、〜, don’t you? や 〜, isn’t it?のようなフレーズが文末についている疑問文です。
~サンプル問題~
You’ve met her before, haven’t you?
A. Yes, I’ve met her once.
B. The meeting will be held at 5 pm.
C. She’s just joined the company.
解答:A
「あなたは彼に会ったことがあったよね?」という疑問文に対して、Aの「はい、一度会ったことがあります。」がもっとも適切な回答です。
付加疑問文は文章の構造上、文末を聞くまでそれが疑問文だということがわかりません。
そのため、平叙文と間違えないよう最後に注目しておきましょう。
問題の構造はYes or No疑問文とほぼ同じです。
選択疑問文
選択疑問文とは、複数の選択肢からどれを選ぶか尋ねる疑問文です。
~サンプル問題~
Would you like to go there by train or bus?
A. I don’t like driving.
B. Yes, he went there.
C. Either is fine.
解答:C
「そこへバスか電車、どちらで行きたいですか?」という疑問文に対して、Cの「どちらでもよいです。」がもっとも適切な回答です。
ひっかけパターンとしてどちらも選ばないパターンもあるので注意しましょう。
どちらも選ばないパターンでは、以下のような選択肢が用いられます。
- Either is fine.「どちらでも大丈夫です。」
- I haven’t decided yet.「まだ決めていません。」
かならずしもどちらかを選んでくれるわけではありません!
【裏技】Part2で聞きとれなかったときの選び方
問題タイプごとの出題パターンとひっかけポイントは、ここまでで紹介したとおりですが、すべてを聞きとるのは難しいでしょう。
とくに、初心者や中級者の場合は聞きとれずに悩んでしまうことも多いはずです。
しかし、音声は次の問題に進んでしまうため、悩んでいる時間はもったいないです。
ただ、ひっかけパターンにあてはまる選択肢をはずせば、あてずっぽうよりも正答率を上げられます。
以下では、Part2で問題や選択肢を聞きとれなかったとき、裏技的に選ぶ方法を紹介します。
同じ単語に注意
まず、問題と同じ単語が使用されている選択肢はひっかけであることが多いです。
以下のサンプル問題のようなパターンです。
~サンプル問題~
Could you text him?
A. Yes, he bought a text.
B. Oh, I’ve already done that.
C. He is a new accountant.
解答:B
「彼にテキストメッセージを送ってくれませんか?」という疑問文に対して、Bの「あぁ、それはもうやっておきましたよ。」がもっとも適切な回答です。
質問とAの選択肢に “text” という単語がありますが、Aの選択肢では「教科書」の意味で “text” を使用しており、テキストメッセージを送ることとは無関係です。
同じ単語が出てきて悩んだ場合は選択肢からはずしてしまいましょう!
音が似ている語句を選ばない
同じ単語だけでなく、音が似ている語句にも注意が必要です。
たとえば、以下のサンプル問題のようなケースです。
~サンプル問題~
Have you watched the film?
A. Yes, I’ve already washed it.
B. No, I’m going to watch it tonight.
C. He went home.
解答:B
「その映画をもう観ましたか?」という疑問文に対して、Bの「いいえ、今夜観るつもりです。」がもっとも適切な回答です。
質問の “watched” と選択肢Aの “washed” は発音が似ているため、ひっかけ問題になっています。
もし “Yes, I’ve already watched it.” であれば正しい返答になっているので、おそらく多くの人がひっかかるでしょう。
また、サンプル問題のように、正答よりも先にひっかけの選択肢が出てくる問題では、その後の選択肢を聞かずにマークしてしまうと危険です。
Bを聞きとれれば「あれ、こっちも正しいぞ」と気付けるはずなので、かならずすべての選択肢を聞くようにしましょう。
coffeeとcopy、safeとsaveなど、発音が似ている単語はたくさんあります!
直接的な返答ばかりではない
質問に対する返答は、直接的なものばかりではありません。
“Where is the meeting going to be held? “「どこでミーティングは行われる予定ですか?」という質問に対して、”Please refer to the email I sent you last week.”「私が先週送ったメールを参照してください。」と回答するケースもあります。
問題文が Where から始まっているため、場所についての返答を期待しますが、文脈から正答を選ぶ能力が必要です。
文脈から正答を選ぶパターンはすこし難易度が高いですが、頻出パターンとして頭の片隅に置いておくことが大切です!
Part2対策におすすめの勉強法
Part2対策において重要な柱は、ひっかけパターンの把握とリスニング力の向上です。
しかし、ただリスニングの演習を重ねるだけでは、リスニング力はあまり伸びないでしょう。
リスニングスキルを効率よく高めるには、ディクテーションやシャドーイングにも取り組むべきです。
以下では、Part2対策におすすめの勉強法について解説します。
ディクテーション
ディクテーションは「音声を聞いて書きとる」学習法です。
文章を聞く中で、どこが聞きとれていて、どこが聞きとれていないのかを明確にできます。
ディクテーションをする際の注意点は「一語一句をそのまま書きとること」です。
前置詞や冠詞などの細かい部分も落とさないように書きとっていきましょう。
慣れないうちは一度で完璧に書きとる必要はなく、何度でも同じセンテンスを聞いて構いません。
また、複数のセンテンスを一度に書きとるのは難しいため、1センテンスずつ区切っても大丈夫です。
聞きとれない部分を知って終わりではなく、なぜ聞きとれなかったのかを考えて自分でも発音してみましょう!
オーバーラッピング
オーバーラッピングは「スクリプトを見ながら流れてくる音声と同時に発音する」学習法です。
ディクテーションとは違って、文面を見ることで正しい発音が身につきます。
リスニングを苦手とする方の多くは、正しい発音を理解できていません。
単語ごとの発音はわかっているかもしれませんが、前置詞の弱形やリエゾン、リダクションなどの音声変化を理解できていなければ、英文を正しく聞きとることはできません。
大原則として、発音できない音は聞きとれません!
シャドーイング
シャドーイングは「スクリプトを見ずに流れてくる音声を追いかけて発音する」学習法です。
ネイティブの発音をみずから再現することで、発音やリスニング力の強化につながります。
ポイントは発音やリズムも含めて、音源をできる限りそのままマネすることです。
オーバーラッピングよりも難易度が高いので、初心者はセンテンスごとに区切ったり、何度も同じ部分を再生したりして取り組むことをおすすめします。
Part2対策のおすすめ教材
Part2の対策では、問題演習と発音練習を並行して進めていくべきです。
問題演習では出題パターンとひっかけポイントの理解、発音練習では正しい発音の習得を目標にしましょう。
以下では、Part2対策におすすめの教材について紹介します。
TOEIC L&R テスト 究極のゼミ Part2&1
Part1とPart2の対策に特化した教材です。
この記事でも取りあげたように、問題形式をカテゴリー分けしつつ、講義形式で問題の傾向などを解説しています。
まるで授業を受けているかのようなイメージで読み進められる点が特徴的です。
解説も充実しており、なぜその解答になるのかだけではなく、ほかの選択肢がなぜ間違っているのかも丁寧に書かれています。
そのため、出題パターンに対する理解を深めるうえでは最適です。
初心者~上級者までレベルを問わず、おすすめできる良書ですが、全体的な難易度としてはすこし難しめかもしれません。
600点以上の中級者の方であれば、すんなりと問題に入っていけるでしょう。
難易度の面で不安な方は、初心者向けのテキストを一冊解いてから取り組むのもおすすめです!
シャドテン
「シャドテン」は、英語コーチングで有名なPROGRITが作成したシャドーイング添削アプリです。
シャドーイングした音声をスマホで録音して送ると、内容についてのフィードバックが24時間以内に届くサービスです。
シャドーイング教材の内容は、ビジネスや科学、社会、学問まで多岐にわたります。
とくに、おすすめできるポイントとして、シャドテンではWPM(Words Per Minutes)を測定できます。
WPMは、1分間にいくつの単語数を読めるかを表したものです。
たとえば、TOEICのリーディングを時間内にすべて解き終えるには、150~200WPMが必要です。
また、添削内容が発音指導に特化しているのもポイントです。
SpeakingがないTOEIC(L&R)において発音を向上させることは、一見意味がないように思えますが、それは誤りです。
しっかりと発音ができることは、その音声を自分でもきちんと理解できることでもあります。
自分で練習する方法もありますが、プロの添削により正しく発音できている部分、できていない部分を明確にできます。
自分では正しく発音できているつもりでも、プロに確認してもらったらできていなかった…なんてこともありそうです!
Part2の苦手は問題演習と発音トレーニングで克服できる
Part2で出題される問題の難易度は、それほど高くありません。
ひっかけパターンの把握と発音のトレーニングを重ねれば、誰でも短期間で高得点が狙えるパートです。
初心者でもPart2を得点源とすることで、高スコアに一歩近づけるでしょう。