TOEFL Essentialsとは、ETSが2021年8月21日から開始した新しい試験です。
従来のTOEFL iBTよりも安く、短い時間で受けられるうえ、自宅で受験できる点が注目されています。
はじめのころは抽選受験制となっており、私は運よく抽選に受かったので10月24日に受験してきました。
この記事では、TOEFL Essentialsの問題の内容、実際に受験した感想、私の解答例を紹介します。
テストの流れ
TOEFL Essentialsは自宅で受験するテストです。
そのため、試験の前には受験環境が整っているか、以下の流れで確認されます。
パソコンの動作環境のチェック
はじめに、ProctorUというアプリを使用して、プロクター(試験官)によってパソコンが受験に適しているかをチェックします。
マイク、カメラ、スピーカーのチェックのほか、別のアプリを開いていないかなども確認されます。
また、ProctorUのサイトでは動作確認ができるため、事前に確認しておくと安心です。
受験用アプリをダウンロード
公式サイトから事前にダウンロードをするように指示があります。
実際にテストを受ける際に使用するパソコンに合わせて、WindowsもしくはMac versionをダウンロードします。
画面をスクロールすると下の画面が出てくるため、「Download the Windows version」、Macの方は「Download the Mac version」を選択しましょう。
本来は事前にダウンロードをしておくべきだったのですが、まだできていないと伝えるとプロクターがすべて行ってくれました!
プロクターがIDチェック・カンニング対策
プロクターにパスポートを見せて、IDを確認します。
そのあとは受験する部屋のチェックです。
以下のような点をチェックされます。
携帯は別の部屋にあると伝えると、置いてある部屋まで案内するように言われたのは驚きました!
試験開始
ここまですべて問題なければ、ようやく試験のスタートです。
試験は、パソコンに表示される指示に従って、以下の順に進みます。
リスニング | 21~34分 | 30~45問 |
リーディング | 22~33分 | 30~45問 |
ライティング | 24~30分 | 15~19問&2タスク |
スピーキング | 13分 | 3タスク(19問) |
パーソナルビデオ | 5分 | 2問 |
TOEFL Essentialsはアダプティブ方式といって、受験者のレベル(問題への正解・不正解)によって次の問題が変わります。
受験者全員が同じ時間・同じ問題、問題数が出題されるわけではないため、時間と問題数に幅があります。
試験内容
TOEFL Essentialsでは、以下の5つの内容が出題されます。
- リスニング
- リーディング
- ライティング
- スピーキング
- パーソナルビデオ
以下では、実際に出題される順番でそれぞれの試験内容について解説します。
リスニング
リスニングセクションでは、日常生活や学校生活で行われる会話やレクチャーを聞き、理解度を確認します。
また、リスニングは全部で4パート出題されます。
- Listen and Reply(応答問題)
- Conversation(会話問題)
- Announcement(アナウンス)
- Talks(レクチャー)
各パートの詳しい内容は、以下のとおりです。
例題と解説を交えつつ紹介するので、試験対策にも役立ててください!
Listen and Reply (応答問題)
Listen and Replyは、1問1答形式の問題です。
短い文章を1文聞いて、応答として適切なものを選択肢から選びます。
TOEICのPart 2に似た問題形式でした。
例題では、「Who’s your favorite basketball player?」(好きなバスケットボール選手は誰ですか?)と音声が流れるので、質問に対する答えを4つの選択肢から選びます。
- Play that song again.(あの曲をもう一回流してください。)
- I don’t like basketball.(バスケットボールは好きではありません。)
- My favorite color is green.( 私の好きな色は緑です。)
- That sounds like fun!(楽しそうだね!)
ここでは問題文に使われている「favorite」や「play」などを使ったひっかけもありますが、答えは「I don’t like basketball.」(バスケットボールが好きではありません)となります。
一見すると問題の答えになっていませんが、バスケットボールは好きではない、つまり好きな選手もいないという答えとして成り立ちます。
私が受験したときは、はじめのうちは「When does the class start?」-「3 o’clock.」と素直に答えるタイプもありましたが、ほとんどの問題が例題と同じく、状況から推測するものでした。
アダプティブ方式のため、解答していく中で難易度の変化を感じました!
Conversation(会話問題)
Conversationは、2人のスピーカーの短い会話を聞き、2つの質問に答える問題です。
トピックは日常生活で出てくるようなものが多く、食事・娯楽・健康・家・旅行などです。
例題では、お客さんとホテルスタッフのやりとりを聞いたあとに、質問が出題されています。
質問:「Who most likely is the man?」(男性はおそらく誰と考えられますか?)に対する答えを4つの選択肢から選びます。
- A bank clerk(銀行員)
- A hotel receptionist(ホテルの受付係)
- A flight attendant(客室乗務員)
- A shop assistant(店員)
ホテルでの予約確認についての会話であったため、「A hotel receptionist」をクリックします。
Conversationは、TOEICのリスニングのPart 3のような問題形式です。
TOEICの日常的な部分とTOEFLのアカデミックな部分のハイブリッド型になっている印象でした!
Announcements(アナウンス問題)
Announcementsは、短いアナウンスを聞き、2つの質問に答える問題です。
ここからは、内容がアカデミックなものになっていきます。
例題では、学校のオリエンテーションで履修登録に関するアナウンスを聞いたあと、質問が出題されています。
質問:「Where should the students start to find information about the classes that are offered?」(学生は提供されているクラスに関する情報をどこで見つけ始めるべきですか?) に対する答えを4つの選択肢から選びます。
- At the registration office(教務課で)
- In a printed course booklet(印刷されたコースのパンフレットで)
- In an appointment with a professor(教授との予約で)
- On the internet(インターネットで)
Talks(長文問題)
Talksは、長文を聞いて質問に答える問題です。
学校で授業を聞いている設定で、100~250単語の長さの音声が流れます。
Part 3と同じく、アカデミックな内容となっており、科学・歴史・芸術・ビジネスなどが中心です。
例題では、「Spider Silk」(クモの糸)についての講義を聞いたあとに、質問が出題されています。
Part3までと比べると、選択肢がすこし長めになっています。
- To point out how common spiders are(どのくらいクモが共通かを指摘するため)
- To compare spiders with other animal species(他の動物とクモを比較するため)
- To explain how spiders adapt to extreme conditions(クモが過酷な条件にどのくらい対応するかを説明するため)
- To describe how spiders in some locations are dying out(クモがいくつかの場所でどのくらい絶滅しているかを描写するため)
リーディング
リーディングセクションでは、適切な単語を選んだり、文章を読んで質問に答えたりする問題が出題されます。
リスニングセクションと同様、4つのパートに分かれています。
- Vocabulary
- General Reading: Daily Life (including graphics)
- Academic Reading: Tables
- Academic Reading: Passages
Vocabulary(語彙問題)
Vocabularyは、単語力についての問題です。
与えられた単語の類義語を4択から選ぶ問題が出題されます。
例題では、青く囲われた「fabric」の類義語を選びます。
fabric(布・生地)と同じような意味をもつ「textile」(繊維)を選択します。
選択した単語は、fabricの隣の空欄までドラッグします。
個人的には、このパートが一番難しかったです。
TOEFL iBTの場合、分からない単語があっても文脈から意味を推測して類義語を選ぶことができますが、TOEFL® Essentialsでは単語のみを見て、意味がわからなければ答えられません。
純粋な単語力が問われる内容でした!
General Reading: Daily Life (including graphics)
Generic Readingは、短めの文章を読み、2~4つの質問に答える問題です。
日常生活になじみのある内容となっています。
例題では、劇場のチケットに関するEメールについて質問されています。
質問:「What does Mr. Lopez need to do before attending the show?」(Lopezさんは演劇に出席する前に何をする必要がありますか?)に対する答えを4つの選択肢から選びます。
- Send an e-mail(Eメールを送る)
- Print her tickets(彼女のチケットを印刷する)
- Make a payment(支払いをする)
- Choose her seats(彼女の座席を選ぶ)
第1段落にチケットを印刷するよう記載があり、劇場では印刷できないとの注意書きもあるため、選択肢の「print her tickets」を選択します。
問題のタイプとしては、TOEICのPart 7とよく似ています。
日常的なトピックはどんな状況かが想像しやすいため、長文とはいえアカデミックな文章よりも読みやすいはずです!
Academic Reading: Tables
Academic Readingは、短めの文章を読み、4つの質問に答える問題です。
「Tables」のタイトルどおり、表示された情報に関する問題が出題されるのが特徴です。
例題にあるとおり、質問の答え方は「True / False / Not stated」の1パターンとなります。
内容がアカデミックな分、Part2に比べると難しくなるうえ、「Not Stated」のひっかけには注意が必要です。
しかし、「合っている・間違っている・述べられていない」の3つから選ぶことは事前に分かっているため、解きやすい面もあります。
質問と選択肢を読む時間を短縮できるのは大きなメリットです!
Academic Reading: Passage
Academic Readingは、約200語の長文を読み、6つの質問に答える問題です。
アカデミックな内容に関する長文が出題されるため、Part1からPart3と比べるとぐっと難易度が上がります。
例題では、太陽系の惑星である金星がトピックとなっています。
さらっと見ただけでも難しい単語がたくさん使われていて、単語力と読解力の両方が必要であるとわかります。
ライティング
ライティングセクションでは、メールの文章や意見を書く問題が出題されます。
ここまでと同様、4つのパートに分かれています。
Build a Sentence(文法問題)
Build a Sentenceは、文法力が問われる並び替え問題です。
バラバラに表示される単語やフレーズを正しい文章に直していきます。
リーディングで出題された語彙問題と同じように、答えを順番に下線部分にドラッグして文章を完成させます。
例題では、「Has anyone seen Daniel this morning?」(誰か今朝ダニエルを見ましたか?)という問いかけに対する応答文を作ります。
「He never shows up for morning meetings.」(彼は朝のミーティングに現れたことは一度もないです)が正解です。
副詞の「never」の位置がポイントとなります。
私が受験したときは、文法は関係代名詞・関係副詞の問題がほとんどで、第3文型(SVO)の問題が2問ほど出ました!
Write an e-mail(メール問題)
Write an e-mailは、メールを書く問題です。
特定のシチュエーションが指示文に表示されるため、指示文を読んだあとに、7分間でメールを書いていきます。
例題では、滞在したホテルのマネージャーからホテルのフィードバックの依頼がきています。
自分の気に入ったところ、問題点、そして再び泊まりたいかどうかの3つの点を含めて、メールを書くように指示されています。
私が受験したときは「引っ越したばかりのアパートに壊れている部分があるので大家に修理のメールをしてください」という問題が出ました!
Describe a Photo(写真問題)
Describe a Photoは、写真について説明する問題です。
ソーシャルメディアに写真をアップする際の文言を書きます。
例題では、ビーチのそばのカフェで過ごしていることがわかります。
しかし、それだけでは一文だけで終わってしまいます。
「家族と行った」、「2日間滞在した」、「カフェのカフェラテがおいしかった」など、実際にSNSを利用するような気持ちで、想像力を働かせて書くとよいでしょう。
主観を含めつつ、できるだけ詳しく書くように意識してみてください!
Write for an Academic Discussion(ディスカッション問題)
Write for an Academic Discussionは、ディスカッションクラスを想定した問題です。
与えられたトピックに対する自分の意見を10分以内で書きます。
教授が説明する授業のポイント、ほかの学生の意見を参考にしつつ、自分の意見を書かなければならないため、読解力も必要です。
例題では、ビジネスのクラスで「広告」に関する意見を求められています。
教授の質問を理解したうえで、自分の意見と理由を10分という短い時間で書かなければならないので、英語力だけでなく時間との闘いでもあります。
私が受験したときは「life skillの授業を学校で行うべきかどうか」というトピックが出題され、時間ギリギリまで使って100ワードほどで書き終えました!
スピーキング
スピーキングセクションでは、発音や会話力を問われる問題が出題されます。
スピーキングセクションは、3つのパートに分かれています。
Read out loud(音読問題)
Read out loudは、文章を音読する問題です。
日常生活や大学のキャンパスで行われる会話の文章が画面に表示されるため、文章を音読します。
例題では、キャンパス内で会った友達と話している状況です。
はじめに、画像の男性が「Hi, how have you been? It’s been a while.」と質問するため、それに対する答え「Hi, I’ve been doing okay. How are you?」を音読します。
そして、男性が「I’m fine. Last time we met, you were looking for a new apartment. Did you find one?」と返したあとに、表示されている文章を再度音読していきます。
一応、制限時間が設けられていますが、私が受験したときは時間がかなり余りました。
時間ぴったりに話すのか、流暢さや自然なイントネーションで話すのか…
受験時には求められているものがわからず、すこし焦ってしまいました。
公式に発表されているスピーキングの評価基準を見てみると、時間ぴったりに話すことは点数には含まれないようです!(よく考えれば当然ですね…笑)
Listen and repeat(リピート問題)
Listen and repeatは、音声と同じ文章を繰り返す問題です。
文章は表示されておらず、耳で聞きとったままに繰り返して発音します。
文章の数は全部で8つ、アカデミックな内容となっています。
例題では、4番のところは「Check the boxes that indicate all the courses you’re taking.」、5番のところは「On the left, list all of your previous acting experience.」と音声が流れます。
私が受験したときは、キャンピングサイトで利用できる施設の説明文でした。
1つめは「Welcome to the 〇〇 Camping Site.」から始まり、8つめは「In this fitness area, you can play tennis ~ 」となっており、徐々に文章が長く、難しくなった印象でした。
満点をとるには完ぺきに繰り返す必要があるようで、記憶力も必要とされるパートです!
Virtual Interview(インタビュー問題)
Virtual Interviewは、インタビューに答える問題です。
事前に録画されたインタビュアーの映像を見て、5つの質問に答えます。
自分の経験や意見などを述べる内容となっています。
実際の試験は、まさに例題と同じように、画面に映っている女性が話しかけてくる感じです。
私が受験したときは、オンラインショッピングに関するものでした。
インタビュアーのビデオが終わり、ピーという音が鳴ったら、制限時間内で自分の意見をまとめていきます。
インタビューはTOEFL iBTと似た形式です。
短い時間で論理だてて自分の意見を伝えなければならず、「ノミの心臓」をもつ私にとっては苦手なタイプです。
ただ、どんな状況であれ、自分の意見を分かりやすくまとめることは、日常生活ではもちろん、アカデミックな環境でもよくあることなので練習あるのみです!
Personal Statement(面接)
Personal Statementは、2つの質問に対して1~2分のスピーキングを録画するパートです。
実は、Personal Statementはスコアには関係しません。
録画した映像は、自分の希望する教育機関へのPRとして用いられます。
英語力だけでなく、性格や個性をアピールできる絶好の場です。
Personal Statementは、1つの質問につき、1回までは撮りなおしができる点も特徴的です。
提出する前に自分の録画を確認できるので、もし気に入らない場合は撮りなおしましょう。
ただし、撮りなおしをすると1回目の動画を提出することはできません。
また、スピーキングセクションとは異なり、話す内容を準備する時間も30秒あります。
Personal Statementの質問内容は、自分自身に関するものです。
1つめの質問は「What would you like to tell people about yourself?」(あなた自身について他の人に伝えたいことは何ですか?)であると決まっています。
こちらは事前に何を伝えるか準備しておくのもおすすめです。
2つめの質問は、2つの質問のうち1つを選んで答えます。
こちらも準備時間は30秒で、1~2分程度の時間が与えられます。
私が受験したときは「What have you learned from your mistakes?」(あなたのミスから学んだことは何ですか?)を選びました!
受験した感想
受け終わってはじめに思ったのは「TOEICとTOEFLのハイブリッド型だなぁ」でした。
受験生の英語力によって、出題される問題数やレベルが変わるため、すべての方にとって参考になるかは分かりませんが、私が受験した際の各セクションの感想を共有していきます。
リスニング
想像よりも難易度が低いように感じました。
また、TOEICに似ている部分が一番多かったセクションです。
たまにスピーカーがロボットのような話し方をしているときや、音量が小さくなったり、大きくなったりするときもありました。
部分的にものすごく聞き取りにくいところがあったので注意が必要です!
リーディング
単語のパートがとくに難しかったです。
類似語のところは正直苦戦しました。
「glee」が2問目で出てきて、頭の上に「?」マークがたくさん出ていました。
長文読解でも同様に難しい単語がたくさんあり、こちらは文脈である程度理解できたものの、やはり苦戦しました…
ライティング
私の場合は、関係代名詞・関係副詞の問題がほとんどでした。
ときどきSVOの文型に関する問題が2問ほど出ました。
メールやその他の部分は、ほとんどが時間ギリギリで書き終えました。
短い時間で意見をまとめるのが苦手な方は苦戦するかもしれません…!
スピーキング
音読は問題なく進みました。
リピートのセクションで自衛隊のヘリがちょうど通ったので聞き取れず、2問ほど適当に想像を含めて話しました。
その後のインタビューは、正直なところあまり自信なしです。
時間制限がある中で話すことに慣れておらず、時計が目に入っては焦り…の繰り返しでした。
練習のうちから時間制限を設けて話すトレーニングをしておくのがおすすめです!
TOEFL Essentialsなら自宅で時短受験ができる
TOEFL Essentialsは、自宅で受けられるTOEFLです。
従来のiBTに比べると、試験時間が短く、価格も安くなっているため、受験にあたってのハードルも下がっています。
そのため、「TOEFLに興味があるけど、ちょっと難しそうだなぁ」と感じている方におすすめです。
ぜひTOEFL Essentialsも選択肢の一つとして検討してみてください。