グローバル化が著しい近年、「子どもの頃からもっと英語に触れておけばよかった」と思っている方もいるのではないでしょうか。
英語は2020年より、小学校3・4年生から「外国語活動」として正式に必修化され、5・6年生からは「外国語」という教科になっています。
そのため、子どもに早い段階で英検Jr.を取得させたいと考えている方も多いでしょう。
今回は、英検Jr.と英検の違い、英検Jr.の受験方法やおすすめの勉強方法などを詳しく解説します。
英検Jr.とは?
英検Jr.とは、英語に親しみ、外国の文化を理解することを目標とした、1994年に開発された児童向けのテストです。
子どもたちに英語に慣れ親しんでもらうことを目的とした育成型ゲーム感覚のリスニングテストですので、英検とは異なるものといえるでしょう。
対象年齢は小学生低学年から高学年までで、小学校の外国語活動に対応していることが特徴の1つです。
家庭である程度勉強をしていれば、未就学の幼児でも受験することは可能です。
覚える英単語数はグレードによって異なり、例えば、シルバーグレードの場合は、約600語の英単語を覚える必要があります。
これは中学校初級レベルの英検5級で覚える必要のある単語数と同じくらいですので、英検Jr.を受験するにはしっかりと勉強することが必要だといえます。
英検Jr.と英検の違い
ここでは、英検Jr.を英検と比較して、どのように違うのかを解説します。
その違いを受検グレードやテストの内容、成績判定の点から、具体的にまとめています。
受験グレード
英検Jr.は英検にはない、ブロンズ、シルバー、ゴールドの3つのグレードが設けられています。
英検のグレードは、5級、4級、3級、準2級、2級、準1級、1級の7つの級が設定されています。 英検Jr.は、これら3つのグレードの各レベルに適した、バラエティ豊富な出題内容になっています。
テスト内容
英検Jr.と英検の大きな違いの1つとして、テスト内容が挙げられます。
英検は一次試験(リーディング・ライティング・リスニング)と、二次試験(スピーキング)の2部構成になっています。
一方の英検Jr.は、すべてリスニングで構成されています。
解答方法は、流れた音声に合うイラストを選択するという方法で、子どもたちが楽しく受験できる工夫がなされています。
英検は、読み、書き、文法学習を行う中学生以降を対象につくられていますが、英検Jr.は文法学習ではなく、会話や発表中心の英語学習を行う小学生が対象とされていることがわかります。
成績判定
テストといえば、成績の判定として合否があります。
実際、英検でも合否を成績の判定に設定しています。
しかし、英検Jr.の成績は、合否ではなく正答率で表示する仕組みになっています。
英検Jr.は、どれだけできたかを評価し、英検のように採点して合格・不合格を決めるようなことはしません。
どれだけできたか、ということによって喜びを実感させ、それが英語学習の動機になるようにというねらいがあるからです。
頑張った子どもたちには、さらに上の目標が目指せるよう進級の目安を通知する仕組みになっているので、モチベーションの維持にもつながります。
英検Jr.の3つのグレード
前出の項目でも少し触れましたが、英検Jr.ではブロンズ、シルバー、ゴールドの3つのグレードに分けられています。
ここでは、各グレードについて詳しく解説していきます。
ブロンズ
英検Jr.のブロンズは小学校低学年を対象としたテストとされています。
文字の学習経験は特に必要なく、半年から2年程度の英語学習を行っているレベルが求められます。
塾でのレッスンを週に1回、半年~1年程度受けている、小学校での英語活動で、週に1回のレッスンを1年半~2年程度受けているくらいが具体的な目安といえるでしょう。
出題数は40問で、解答時間は約30分とされています。
英語の音やリズムに慣れ親しむこと、英語において初歩的なコミュニケーションに必要とされている語句や簡単な表現を聞き取り理解することが、到達目標です。
実際のテストでは、「I am」や「This is」といった基礎的な英会話を聞き、内容に合ったイラストを選びます。
覚える必要がある英単語数は約300語とされています。
シルバー
英検Jr.のシルバーは、小学校中学年程度で、ブロンズを受験して80%以上正解した児童が対象とされています。
低学年での学習を終え、次の段階に向かおうとしている子どもに向いているといえるでしょう。
塾でのレッスンを週に1回、1~2年程度受けている、小学校での英語活動で週に1回のレッスンを2~3年半程度受けているくらいが具体的な目安とされています。
出題数は45問で、解答時間は約35分です。
問題形式はブロンズと同じですが、例えば、頭のアルファベットを答える、読まれた単語を選択肢の中から選ぶなど、より具体的な問題が出題されるようになります。
また、ブロンズとの大きな違いは、文字の学習が必要だという点が挙げられます。
アルファベットを選んだり、絵に合った単語を選んだりする問題が出題されるためです。
シルバーを受験するためには、文字での学習は1~2年程度続けている必要があるといわれています。
以下の3点が、シルバーでの到達目標です。
- 日常生活での身近な事柄に関する簡単な語句や表現を聞きとって理解し、それに対して簡単に応答できる。
- 簡単な会話や文をいくつか聞きとり、その中にある情報を理解する。
- 文字と音声の結びつきに関心を持つ。
覚える必要がある英単語数は約600語ですので、ブロンズで覚える必要がある英単語数のちょうど2倍になっています。
ゴールド
英検Jr.のゴールドは小学校高学年程度で、シルバーを受験して80%以上正解した児童が対象です。
塾でのレッスンを週に1回、2~3年程度受けている、小学校での英語活動で週に1回のレッスンを3年半~5年程度受けているくらいが、具体的な目安とされています。
2020年以降、小学校5・6年生が小学校での英語学習を通して身につけたいレベルの目標ともいわれています。
出題数は50問で、解答時間は約45分です。
グレードが上がると、徐々に問題数と解答時間が増えていることがわかります。
問題形式はブロンズ、シルバーと同じですが、例えば、イラストに英単語が書かれていない、簡単なリスニングテストが出題されるなど問題の難易度はさらに上がります。
今まであったイラストにヒントがない問題や、単語を見てそれに合ったイラストを選ぶ問題、短い文章で書かれている答えを選ぶ問題も出題されます。
ゴールドを受験するためには、文字の学習を2~3年しているレベルが求められます。
ゴールドでの到達目標は、以下の4つです。
- 日常生活での身近な事柄に関する語句や表現を聞きとり、理解する。
- 同時に、それに対して質問したり応答したりできる。
- まとまった会話や文章を聞き、その中の情報を理解して、その場面や状況を判断、把握ができる。
- 身の回りの語句や簡単な短い文を読める。
覚える必要がある英単語数は、約1,000語といわれていますので、しっかり学習することが必要といえるでしょう。
英検Jr.の受験方法
英検Jr.の受験方法は、オンライン版とペーパー版の2種類があります。
どちらもインターネットから申し込みをすることができます。
オンライン版はパソコンを使ってテストを行い、ペーパー版は会場に赴き、問題用紙と解答用紙を使ってテストを行います。
パソコンの操作に慣れていない、または環境的に使用が難しい場合などは、ペーパー版での受験を選ぶことになります。
ペーパー版を受験する際には注意点が2つあります。まず、受験会場とテスト日が決められているので、事前に予定を合わせる必要があります。
もう1つは、ペーパー版では、グレードに関係なく5名以上を1グループとし、実施する会場を確保しなければなりません。
個人での申し込みは実質不可ですので、グループで参加する人数を集めて、それから申し込みをする流れになっています。
一方のオンライン版では、申し込んでから有効期限内であれば、いつでも受験でき個人での申し込みも可能です。
近年は習い事などで忙しい子どもも増えていますので、オンライン版での受験がおすすめです。
英検Jr.と英検どちらを受験すべき?
英検Jr.と英検のどちらを受験すべきか悩んでいるという方もいるのではないでしょうか。
出題場面や語彙表現において、英検Jr.のシルバーと英検の5級、英検Jr.のゴールドと英検の4級は、共通点があるといわれています。
実際に受験した子ども達の中でも、英検の5級よりも英検Jr.のゴールドの方が難しいと感じる子どもが少なくないそうです。
このようなことを踏まえると、ますますどちらを受験すべきか迷ってしまいますが、目的によってどちらを受験するか決めるのが良いでしょう。
以下に、それぞれのメリットを詳しく解説していきますので、目的に合ったほうを選んでみてください。
英検Jr.を受験するメリット
英検Jr.を受験するメリットとして、「英語を自ら学習する姿勢を身につけることに効果的」という点が挙げられます。
まず、ゲーム感覚で英語を身につけることができるので、英語に慣れ親しむことにつながります。 幼い時の学習には、楽しさが必要なため、楽しみながら英語を学ぶことができれば、英語に苦手意識を抱くこともなくなります。
また、幼い時期から英語を聞いていると、英語耳を育てることができます。
英語耳とは、英語の音を、その他の音と区別して聞き取ることができる力のことを指します。
人間は、耳慣れない音を雑音と認識するようにできているため、年齢を重ねれば重ねるほど、母国語以外の音を認識することが難しくなります。
そのため、外国語を学習することに必要なリスニング力を育てるためには、幼い時から接しておくことが有利に働きます。
以上のことを踏まえると、英検Jr.は英語を初めて学習する子どもにおすすめだといえるでしょう。
英検を受験するメリット
英検は、英検Jr.と違って、正式な資格テストの1つです。
そのため、中学や高校の受験において有利に働きます。
英検Jr.は、幼児~小学生が対象のテストですので、どちらを受験すべきか悩む年齢は、主に小学生かもしれません。
中学受験は、一般的に国語、算数、理科、社会の4教科が基本になっていますので、英検を取得する必要はありません。
しかし、近年英語入試を採用する学校も増えており、英検取得によって入試の成績が優遇されることもあります。
英語で入試を受けた際、英検の取得級数によって点数が加算されるなど、英検を取得している受験生については合否判定の際に考慮することを定めている学校もあります。
また、高校受験においても、一部の高校で調査書点(内申点)での加点や、学力検査(入学試験)への加点が期待できます。
長い目で見ると、学歴の点で有利に働くのは英検ともいえるでしょう。
英検Jr.におすすめ勉強方法とは?
まずは、英語の単語や表現を覚えましょう。
英検Jr.では、基礎的なものの名称や、日常的に必要な表現を求められますので、英語学習用の素材などをうまく利用して親子で取り組むことが大切です。
また、英検Jr.はリスニングテストですので、英語を耳で聞いて理解できるようになることが、何よりも大事です。
音声付きの教材を使用することや、英語のアニメを見ることで英語に触れる機会を増やしていきましょう。
ペーパー版を受験するのであれば、参考書を中心に勉強する方法が有効的です。
「楽しくはじめる英検Jr.(旺文社)」シリーズは英検Jr.の受験勉強でおすすめの参考書の1つです。
英検Jr.のそれぞれのグレードに向けて、楽しくテスト対策ができる内容となっています。
本番形式の問題が掲載されていますので、実際のテストに向けた練習ができます。
さらに、表彰状やごほうびシールなど、子どものやる気アップにつながる特典も豊富です。
音声は、付属CDの他、リスニングアプリ「英語の友」でも再生することができるため、スマホやタブレットで英語の音声を手軽に再生できます。
オンライン版を受験する際に有効な勉強方法は、テスト一体型のリスニング教材を利用する方法です。
テストとラーニングが一体となっているので、ドリルやゲームを通じて自宅のパソコンで楽しみながら学習し、模擬テストでテスト形式に慣れることができます。
普段の学習からパソコンの操作に慣れることにもつながりますので、一石二鳥といえるでしょう。
英検Jr.で英語に慣れたら、英検にステップアップしてみよう!
英検Jr.を受験することは、子どもたちに英語に慣れ親しんでもらうことに有効だということがおわかりいただけたのではないでしょうか。
早いうちに英検Jr.を受験しておけば、英語だけでなく英検の受験にも慣れることができます。
英検Jr.と英検はそれぞれ目的が異なりますが、まずは、英検Jr.で英語に慣れたら、英検にステップアップしていくことがおすすめです。
しかし、学校に通いながら自主的に英検の学習を独学で進めることは、子どもにとって難しい場合もあります。
そういった場合は、英検に特化した塾やスクールに通いながら学習する方法が効果を発揮します。
バークレーハウス語学センターでは、英検の受験勉強において、日本人に最も適した教材を揃えています。
受講生1人ひとりに合った教材をカスタマイズするため、最適な授業を受けることができます。
また、講師は、英検に精通した、日本人講師とネイティブ講師が在籍しています。
英検Jr.対策は、特にリスニング力が求められるので、日本語も話せるネイティブ講師の指導により、正しい発音やイントネーションを習得することが可能です。
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