この記事を書いた人
バークレーハウスIELTS講師
竹林 駿
Suguru Takebayashi
米国ミネソタ州立大学大学院修了。専門はライティング。大学院在籍時は英語で詩を執筆し、米国の文芸雑誌に応募していた。勉強の傍ら、Diversity Councilにてファシリテーターとしてボランティア活動にも従事し、米国の中学高校などで人種差別などをテーマにしたセミナーに「留学生(=外国人)」として自ら登壇した。帰国後は英検、TOEIC、大学受験などの英語指導に携わったほか、2019年度から都内の私立大学でも教鞭を取る。IELTSでは、4技能(L, R, S, W)全てのセクションで8.0以上を取得。英検1級、TOEFL iBT109点。
お待たせしました。IELTSアカデミックテストの「リーディング」対策の第2弾です。リーディングはどうすればスコアが上がるのか、何に気を付けて勉強すればいいのか、本番でどうやって解くのが適切か、竹林先生と見ていきましょう!
IELTSリーディングの問題形式別の攻略法
IELTSリーディングの問題数
竹林先生
まずはIELTSのリーディングの問題数を復習しましょう。
長文1:計13問 長文2:計13問 長文3:計14問 合計:40問 **ごくまれに長文1または2が14問になる事があるが、「合計40問」は常に同じ
IELTSリーディングは問題を先に見る? 本文から先に読む?
先生にぜひ聞きたいのが、リーディングの問題は「問題を先に目を通す 」のがいいか、それとも「本文を先に読む 」のか、どっちがいいでしょう?
竹林先生
「全ての問題に先に目を通す」というのは、絶対お勧めしません。 1つの長文には13~14の問題があるわけですが、その全てに目を通しても、残念ながら覚えていられないからです。本文を読み終わった後に結局、再び問題に目を通すことになるので、タイムロスが多過ぎます。
では、いきなり本文に目を通す方が良いという事でしょうか?
竹林先生
本文が先か?問題が先か? については、問題形式による と思います。ここからは、私が個人的にお勧めする攻略法を、問題形式別に見ていきましょう↓↓
竹林先生おすすめのリーディング問題攻略法
問題形式 問題は先読みする? True/False/Not Given Yes Fill-in Yes Matching(与えられた文と、選択肢の組合わせ) Matching(どの情報がどの段落にあるか) Matching(人名と、その人の主張の組合わせ) Yes No No Multiple Choice(本文の内容に関する選択問題) Multiple Choice(本文のタイトルを選ぶ問題) Yes No Headings No
【True/False/Not Given】の解き方のコツ
まずは、IELTSのリーディングの問題の王道ともいえる「True/False/Not Given」からです。
こちらは、問題に先に目を通す方が、先生としてはオススメのようですが。
竹林先生
問題に先に目を通すといっても、「1番最初の問題」だけ目を通す、ということです。たとえば「True/False/NG」が問1~4で出た場合、問1だけ見て本文を読み始めるのを、私はオススメします。ちなみに「Yes/No/NG」という形で出題される事もありますが、やる事は基本同じです。
最初の問題だけに目を通す 。それはなぜですか?
竹林先生
さっきも言ったように、全ての問題に目を通しても、結局覚えていられないのが現状です。問題全てをあらかじめ読んでも、本文読んでる間に忘れてしまったら、時間がもったいないでしょう?
竹林先生
更に、IELTSのリーディングでは、問題番号の若い順番で本文に答えが出ている事が圧倒的に多いです。つまり、1番最初の問題の答えがどこにあるかさえ分かれば、2問目以降は、たいていその後に順番通りに出てきます。なのでまず「1問目だけ」に目を通して本文を読む。答えが見つかったら解答用紙に書く、そうしたら2問目に目を通し、本文を読んでいく……この順番が一番効率的かと思います。
解く上で、何か気を付けることがありますか?
竹林先生
これは過去のブログ記事でも何度も書いたことですが、True/Falseの問題だけではなく、「言い換え表現」に気を付ける ということです。IELTSでは、問題の選択肢で使われる表現が、本文で使われる表現と全く同じという事はまずありません。同義語などを使って全く異なる表現が、選択肢では使われます。それでも、その2つがおおよそ同じ事を言っていると気づく必要があります。
つまり「この単語はこういう意味」と逐語訳をするよりは、「誰が何をしているか」という、主語と動詞を押さえたイメージ で本文を理解していくのを意識するといいのですね。
【Fill-in】の解き方のコツ
次は、Fill-inの問題ですね。問題文の空欄に、指定された語数の単語を、本文から抜き出して書き入れる問題です。
竹林先生
Fill-inの問題で気を付けることは、2つあります。1つ目の注意点は、指定された語数を守るということ。「Write NO MORE THAN 2 WORDS」とあったら、1語または2語ならOK、3語以上書いたら×、という意味です。2つ目の注意点は、本文の単語をそのまま書き写す、ということです。たとえば本文に「books」と複数形で書いてあるのに、回答に「book」と単数形で書いたら×です。コンピュータで受験する場合、該当の単語をコピぺして張り付けると、スペルミスをする心配が無いので安心ですね。
こちらも、まず1番最初の問題にだけ目を通してから、本文を読む方がオススメだ、とのことですが。
竹林先生
私の生徒さんにはそう勧めています。True/False/NGのように、たいてい本文には答えが順番通りに出てきます。最初の問題の答えだけどこにあるか分かれば、あとは順番通りに本文に出てきますから、答えを探して本文を行ったり来たりする手間が省けるわけです。たまに順序が入れ替わって答えが出ている事がありますが、その場合、両者は比較的近い位置で出ていますから、そんなに心配しなくて大丈夫です。
答えが本文に順番通りに出てくる事が多い というのは、知ってるのと知らないのでは大きな違いがありますね。
【Matching】の解き方のコツ
続いて Matching の問題に行きましょう。こちらは主に3種類あるみたいですね。まずは「与えられた文を、選択肢の文と組み合わせる問題」から。こちらはどんな問題なんでしょうか?
竹林先生
たとえば、問題文に「To protect nature, we should …」で止まっている文がある。その続きに入れるのにふさわしい英文を、選択肢が「A: recycle things / B: not take airplanes / C: not eat meat …」などと並んでいるので、本文の内容に合う選択肢を選ぶものです。
こちらも、やはり「1番最初の問題だけ目を通して本文を読む」というスタイルが良いんですね?
竹林先生
はい。このタイプの問題も、本文には答えが順番通りに出ていることが圧倒的に多いですから。
それに引き換え、同じmatching問題でも「どの情報がどの段落に書いてあるか選ぶ問題」と「人名と、その人の主張の組み合わせ」の2つは、先に問題を見ない方が良い、と先ほどの表にありますが?
竹林先生
そうですね。まず「どの情報がどの段落に書いてあるか選ぶ問題」は、まず本文の段落を読んでから、その後に選択肢に目を通した方が、効率的に答えを探せると思います。選択肢を先に見ても、段落を読んだ後に結局選択肢をもう1回見るハメになりそうですからね。
竹林先生
「人名と、その人の主張の組み合わせ」は、その名の通り、問題に「He argues that we should do XXX.」などと書いてあって、選択肢に並ぶ人名から、その主張をおこなった人の名前を選ぶ問題です。このタイプの問題は、人名という「固有名詞」があるので、本文のどこに書いてあるかを探すのは容易でしょう。だからこの問題は、本文を一通り読んでから問題に目を通して、全く問題無いはずです。
これらの Matching の問題を解く上で、何かコツは必要ですか?
竹林先生
どれもやはり共通しているのは、「結局何が言いたいか」を把握できるか否かです。たとえば、人名と主張と組み合わせる問題も、その人物が結局どういう主張をしているのかを掴めば、本文と問題文で言い回しが変わっていても、どれが答えかは自ずと選べるはずです。
文をただ読むだけでなく、「結局この文は何を言いたいのか 」を意識して読む、ということですね。確かにそれがリーディングの極意ですね。
【Multiple choice】の解き方のコツ
続いて Multiple choice(選択問題)ですね。本文の内容に一致するものを、選択肢の中から1つ、または2つ選ぶものです。こちらは最初の問題に目を通してから本文を読むのがいいのでしょうか。
竹林先生
その通りです。基本、問題番号の若い順に答えが本文に出てくるので、最初の問題に目を通してから本文を読むのがいいでしょう。
Multiple choiceも、選択肢と本文とで違う言い回しになっているのでしょうか。
竹林先生
もちろんです。IELTSのリーディングは、基本すべて選択肢と本文とで違う言い回しになっています。
その反面、本文の「タイトル」を選ぶ問題は、問題は先に見なくて良いとのことですが。
竹林先生
そりゃそうでしょう。タイトルを選ぶのは、本文を最初から最後まで全部読んでからでないと解けないはずです。これを解くのは、一番最後に回してしまって良いです。
どうやってタイトルを選ぶのでしょうか?
竹林先生
タイトルを選ぶ場合でもやはり、「この文は結局何が言いたいのか」を意識することです。文章というのは、重要度の低い情報や、具体例などが入ってくる事が多いのですが、「結局一番言いたいことは何か?」と、本文を読んだ後に自問自答してみてください。すると選択肢を見た時に、「これは違うな」という選択肢が見えてきて、消去法で正しい答えに辿り着けるはずです。
【Headings】の解き方のコツ
最後に、Headingsの問題です。各段落のタイトルを、選択肢から選ぶ問題ですね。
竹林先生
Headingsも、先ほどの「本文のタイトルを選ぶ問題」とやり方は同じです。まず段落を先に読む。「この段落は結局何が言いたいのか」を意識しながら。そのあとに選択肢に目を通すと、不正解の選択肢は「これは違うな」とすぐ分かります。コツさえ掴めば、Headingsは比較的簡単にできますよ。
アカデミックとジェネラルの違いは?
ここまでは、IELTSの「アカデミック」テストのリーディングについて教えて頂きましたが、英国へ移住する人などが受ける「ジェネラル」のテストのリーディングは、何か大きな違いがあるのでしょうか?
竹林先生
問題数と問題形式は変わらないですが、どんな違いがあるか簡単にまとめてみました。
アカデミックとジェネラル リーディング問題の違い
アカデミック ジェネラル 出題される問題形式 ジェネラルと同じ アカデミックと同じ 文章内容 専門誌や新聞などから抜粋 広告や雑誌などから抜粋 パッセージの数 計3 計5 問題の合計数 40 40
竹林先生
また、ジェネラルは、アカデミックとスコアの換算が少し異なります↓↓
アカデミック ジェネラル 正解数 → バンドスコア 正解数 → バンドスコア 39-40 → 9.0 40 → 9.0 37-38 → 8.5 39 → 8.5 35-36 → 8.0 37-38 → 8.0 33-34 → 7.5 36 → 7.5 30-32 → 7.0 34-35 → 7.0 27-29 → 6.5 32-33 → 6.5 23-26 → 6.0 30-31 → 6.0 19-22 → 5.5 27-29 → 5.5 15-18 → 5.0 23-26 → 5.0 13-14 → 4.5 19-22 → 4.5 10-12 → 4.0 15-18 → 4.0 8-9 → 3.5 12-14 → 3.5 6-7 → 3.0 9-11 → 3.0
英語を読む速度を上げる3つのポイント
最後になりますが、リーディングの問題は、時間内に終わらせるのが大変だと感じることが多いです。英文を読む速度を上げる にはどんな事をすればいいですか?
竹林先生
読む速度を上げるには、3つの事を行う必要があります。あなたが上級者であれ、初心者であれ、その3つはなるべく同時進行で行う事をお勧めします。
1つ目は何ですか?
竹林先生
まずは単語力を上げること。知らない単語があれば、当然辞書で調べてメモって、覚えていきましょう。
知らない単語が少なければ読む速度が上がるのは言うまでもないですね。2つ目は何でしょうか?
竹林先生
2つ目は、英文の音読です。リーディングの文章を声に出して読みましょう。これは日本語でも外国語でもそうですが、人間が文章を目で読む時は、脳の中で無意識に音読していると言われています。そのため、どう発音するか分からない単語が文中にあると、そこで一瞬読むのが止まってしまう。だから、文中の単語の発音が分かる&それらを声に出して読むことに慣れている事で、目で読む速度も上げる事が出来るのです。
音読に慣れているか慣れていないかで、目で読む速度に差が出るなんて、思ってもみませんでした! では、3つ目のポイントは何ですか?
竹林先生
3つ目は、これはさっきも言った事ですが、読みながら「結局何が言いたいか」を意識することです。各段落を読み終わる毎に、「この段落の要点は何だろう?」と考えてみる。すると、次の段落ではどんな事が述べられるであろうかを、おおまかに予測できる事もあります。予想が当たると、内容理解が格段に速くなります。予想と違うのが来ても「こんな内容が来たか」という「意外性」が記憶にこびりつき、後で問題を解く時に本文の内容を思い出しやすくなる事もあります。
リーディングって、ただ情報が与えられるだけの「受け身」な作業になりがちだけど、「考えながら読む 」という「active reader」になると良い、ということですね!
まとめ
IELTSリーディング - おススメの解き方
■ 最初の問題だけに目を通し、後から本文を読んでいくのがお勧めの問題:
- True/False/NG
- Yes/No/NG
- fill-in
- 本文の内容に関するmultiple choice
- 与えられた文と選択肢のmatching
など
■ 本文を先に読み、後から選択肢に目を通すのがお勧めの問題:
- 上記以外のmatching問題
- 本文のタイトルを選ぶ問題
- 段落のHeadings
など
英文を読む速度を上げるには?
① 文中の知らない単語を覚える
② 英文を音読する
③ 文章の主旨を意識しながら読む
竹林先生
リーディングは、問題数をこなせば必ずスコアが上がります。ここにご紹介したテクニックを試して頂ければ、更に早くスコアアップにつながるでしょう。皆さん、頑張ってくださいね。
先生、ありがとうございました。