中国語 学習


中国語を話す国はどんな国?

多民族国家の中国では、国内だけで約90種類の言語が使われています。その中の北京で話されている言語が「普通話」と呼ばれ、「標準的中国語」として認識されています。中国語の基本的な文法構造は難解ではなく、表記法も簡略化した漢字を用いることから、日本人にとっては比較的学習しやすい言語です。

まとめ情報

正式国名 中華人民共和国(中国語名:中華人民共和國)
面積 約963.4万km2
首都 北京
人口 14億1,260万人(2021年現在)
言語 漢語(北京語)、共通語は漢語標準語
通貨 元(ユェン)
宗教 仏教、道教、イスラム教、キリスト教、ラマ教など
時差 マイナス1時間
気候 中国は南から北へ、赤道地帯、熱帯、亜熱帯、暖温帯、温帯、寒温帯、という6つの温度帯に分かれています。華北、華中、シルクロードは、夏は暑く、冬は寒いのが特徴です。内モンゴルと東北地方の夏は、比較的さわやかと言われています。
チップ ホテル、レストラン、タクシーなど、いずれも不要です。
交通事情 広大な中国の移動手段は飛行機が中心となりますが、鉄道、長距離バス、フェリーなどの交通網が整備されているため、目的に合わせて移動手段が選べます。また、北京、上海市内は特に、地下鉄やバスが整っており、主な観光スポットなど、どこへ行くにも大変便利です。
食事 多彩な技法や味のバラエティーを持ち、世界三大料理の一つに挙げられています。
地理的、気候的条件等、各地でそれぞれ特色が異なる中国では、地方ごとに食材、調理法や味付けも大きく異なります。
このため、一言で「中華料理」を語ることは難しいですが、元代以降の中国では火を通した温かい食事をとることが重視されてきたため、中華鍋を使い、日本料理や西洋料理に比べて強い火力を用いる炒め物が目立ち、油(ラード、ごま油など)を多用する料理が多いという傾向があると言って良いでしょう。

基礎会話とフレーズ

你好 (Nǐ hǎo) こんにちは
早上好 (Zǎoshang hǎo) おはようございます
晚上好 (Wǎnshang hǎo) こんばんは
谢谢 (Xièxie) ありがとう
不客气 (Búkèqi) どういたしまして
好久不见 (Hǎojiǔ bú jiàn) お久しぶりです
再见 (Zàijiàn) さようなら
我叫玛丽 (wǒ jiào mǎ lì) わたしはマリーです。
你叫什么名字? (nǐ jiào shénme míngzi) お名前は何といいますか?
我是日本人 (wǒ shì rìběnrén) わたしは日本人です。
你工作忙吗? (nǐ gōngzuò máng ma) 仕事は忙しいですか?
很忙。你呢? (hěn máng nǐ ne) 忙しいです。あなたは?
我不太忙 (wǒ bù tài máng) あまり忙しくありません
你现在住在哪里? (nǐ xiàn zài zhù zài nǎli) あなたは今どこに住んでいますか?
他在东京 (tā zài dōng jīng) 彼は東京にいます
你为什么去中国? (nǐ wèi shén me qù zhōng guó) あなたはなぜ中国に行くのですか?
你家有几口人? (nǐ jiā yǒu jǐ kǒu rén) あなたの家族は何人家族ですか?
今天很热 (jīntiān hěn rè) 今日は暑いです
这本书不很好 (zhè běn shū bù hěn hǎo) この本はそれほど良くないです
我教你汉语 (wǒ jiào nǐ hànyǔ) 私はあなたに中国語を教えます

中国語 基礎

漢字と発音の隔たり 中国語はすべて漢字で書き表し、日本語のカタカナやひらがなに相当する文字はありません。中国では、常用漢字として3,500、通用漢字としてさらに3,500を加え、合計7,000字を定めていますが、小学生でも3,000語以上を覚えるそうです。また、地名や人名にはこの通用漢字の枠を越えてしまうものがあります。
日本人は中国語を学んだことがなくても、漢字や漢語の知識があるので、拾い読みで理解できる部分もあることは確かです。しかし、中国語を耳で聞いたとしたら、チンプンカンプンで、どんな漢字に当たるのか、わかるはずがありません。中国はチゥンクォ、日本はリーペンと、むりにカタカナ表記をしても、それぞれ「反り舌音」という日本語にはない子音を含むので、これだけでも目と耳の距離が実感できるはずです。
実際、国際会議の場で、文献などで名前を見たことのある中国人に会ったものの、漢字の読み方がわからず呼びかけられないというケースが少なくないそうです。
辞書と入門書 学習者に広く使われているものをご紹介します。
『中日辞典』(小学館)
『ゼロから始める中国語』(輿水優著、三修社)
『気軽に学ぶ中国語』(輿水優著、NHK出版)
『LL中国語』シリーズ(輿水優著、大修館書店
中国語 発音 四声~九声 外国語の学習では、とりわけ入門期に単語の読み方をカタカナで記し、教師からしかられることもああります。母音や子音の発音が日本と大差ないならば、この方法も決して悪くはありません。中国語の場合は、子音だけ見ても「反り舌音」や「無気音・有気音」など、カナでは表しにくい音があるので、仮にカナを工夫しても、中国語ではそれぞれの音節にかぶさる声調がつかないと、言葉として理解されません。
声調は、共通語の場合、高く平ら(第1声)、上昇(第2声)、低くおさえる(第3声)、下降(第4声)の4種があり、4声とも呼んでいます。カナで書くとマイとなる音を第3声でいえば「買う」、第4声でいえば「売る」の意味になります。学習初心者は、発音が難しいと言いますが、多くは4声になかなか慣れないことを指しています。しかし、学校などで学ぶ共通語はわずか4つの声調を区別すれば良いので、耳にする機会が増えれば、自然に調子がつかめるはずです。
中国各地の方言では、声調の種類が4つどころか、さらに多くの高低上下を区別しなければならず、上海語は5声、広東語はなんと9声あります。ところで、広東語の9声のうちには音節末尾が-p、-t、-kで終わる、日本語の促音に似た、入声という声調が3種含まれています。共通語ではこれらの末尾音はすでに消滅していますが、日本語の字音はこの痕跡をとどめていて、日本人は漢字を見て入声をすぐ識別できます。しかし、一般的には字音は日本語からある程度推し量れますが、第何声であるかは推し量れません。声調について初学者が苦労するのは、むしろ漢字の一つ一つについて第何声かを覚えることです。
共通語は方言に比べ、声調も、母音も子音も数が比較的少なく、日本人にとって習得しやすいです。ただ、母音では単母音より複合母音が多く、末尾音の-nと-ngが対立するものは、初学者の耳にどちらも同じく「ン」としか聞こえず、しばらく苦労します。末尾音が-n、-ngとなる音節が多いため、耳から受ける中国語の印象では、トンチンカンとかチントンシャンなどと「ン」が強く響きます。子音では「反り舌音」と「無気音・有気音」などが練習を必要とする程度です。
特に後者は、共通語がいわゆる濁音を持たない代わりに、清音で息の弱いものと強いものを区別する対立で中国人にとっては同じ「パン」でも「パ」の破裂が弱い無気音と、破裂の強い有気音は異なる音となります。
学習初心者は、声の大小で破裂の強弱に代えることが多く、また聞き取りも慣れるまでに時間がかかります。語頭の子音は、これらを含めてわずか21しかなく、末尾音の-n、-ngは複合母音の一部です。音節末尾は必ず母音で、中国語は母音がいたって優勢となっています。
中国語 文字・文法 中華人民共和国が成立してから「一つの字でいくつかの書き方のある漢字の整理(1955年)」「漢字の筆画の簡略化(’56年)」「手書き体による通用字形の制定(’64年)」など文字改革の諸施策によって、いわゆる略字ばかりでなく、日中両国間で字形の異なる漢字が一挙に増えました。これらの文字施策は台湾などには及ばないため、中国語を学ぶものは日本の常用漢字が採用する字形に加え、中国の旧字(繁体字)と新字(簡体字)の字形も覚えることになります。
このように字形の違いが大きくなったため、新聞紙上で日中双方の略字を統一したいといった意見をよく見かけます。しかし中国の略字には、数百年も用いている俗字の採用や同じ字音の漢字を使った当て字が多く、実現は難しいです。
同じ一つの漢字でも、日中双方の字音が異なることはいうまでもありません。字音のよく似た例がないわけではないですが、その漢字が日本に伝来したときの字音が中国の現代語にも残っているためで、大半は現代語に至るまでに中国の字音が変化しています。
たとえば、子という字を日本語では、帽子(シ)、椅子(ス)、餃子(ザ)などと読み分けるが、それぞれの品物が日本に入って来たころの、中国の字音を反映したもので、餃子のザは現代語の方言音を反映しています。
ピンイン・ローマ字 漢字を指して表意文字と言いますが、実は漢字の構成法で形声文字と呼ぶ一類は、へん(偏)とつくり(旁)から作られていて、前者は意味を示す意符、後者は字音を示す音符となっています。たとえば、晴・清・精・請などはいずれも青を音符としています。形声文字は漢字の総数の80パーセント以上を占めるというので、漢字も表意文字とばかりはいいきれません。
しかし、アルファベットを使うのとは違い、漢字から字音を正確に知ることはできません。そこでローマ字が登場します。現在、大陸で広く用いられているローマ字は’58年に制定されたもので、音字母(ピンイン・ローマ字)と呼びます。英語のアルファベット26文字の範囲で表記できますが、清音である無気音を濁音字で示すなど、音の数に対して字の数が足りず無理な読み方やつづり方を強いられるところが多いです。特に学習初心者は、このローマ字を英語式に読んでしまいます。
国際標準化会議(ISO)も’70年代に、この中国語ローマ字表記法を公認しています。ただし、単語の分かち書きなどの規則を含めた、いわゆる正書法がまだ確立していないので、漢字に代え、このローマ字だけで中国語を書き記すことはありません。
同字同形に気をつけよう 明治時代に日本人が欧米の文献を翻訳する際、中国の古典語に新しい意味を付与したり、和製漢語を作り、それらが中国語に吸収されました。前者には教育・経済など、後者には電話・物理などがあります。第2次大戦中には、取締・御用など、いかにも時代を反映した和製漢語が中国語に加えられています。近年、日中関係が緊密になり、美容・料理など中国語に取り入れられる語が増えています。ちなみに、料理は中国語では処理するの意味で使われていました。
これらの漢語を含め、日中双方で同字同形の語彙を用いる例が多数あります。しかし、このような日中同字同形語こそ、往々にして中国語学習者がうっかり落ちてしまう落とし穴なのです。テレビのクイズに出題されるような老婆と書いて女房、、麻雀と書いてスズメを指すといった、へだたりの大きい例は対処しやすいのですが、中国語の学生は小学生も含むとか、中国語の夫婦は日本語の夫妻で、逆に夫妻が夫婦に当たるといった微妙な例になると、差異を知らずに使ってしまうことがあります。
中国語を日本語に訳す場合、日本人がとくに注意すべき点は、辞書も引かずに日本語の、しかも訓読みで判断しがちなことです。たとえば「配」という字を見て、日本人はまず「クバル」と読んでしまう。日常生活では訓読みの語彙が多く、「ハイ」と音読みしたのでは意味が浮かんできません。しかし、中国語の意味を知るには、日本人が中国語から借りて来た漢語のなかで用例を探すべきです。配合・配偶などがそれに当たり、いずれも「配」を「取リ合ワセル」意で用います。日中同字同形の、そのまま読める語句ほど、辞書を引くことをおすすめします。
求人と求職の違い 日本語の語彙は、在来の大和言葉と、中国から借用した漢語に大別されます。漢語にはいわば中国語の文法がそのまま凝縮されていて、日本人は中国語を学ばなくても、その文法を身につけていることになります。漢語における複合語の構成法として、たとえば、(1)地震、(2)停車、(3)打倒、(4)高山、(5)人民の5種を挙げることができます。これらはそのまま中国語の句や文の構成法を示しています。すなわち、(1)は主語+述語、(2)は動詞+賓語、(3)は動詞+補語、(4)は修飾語+被修飾語、(5)は並列という、基本的な語順です。中国語には語と語の結び付き方を示す、いわゆる活用がなく、また日本語のテニヲハに当たる助詞も少ないので、語を結ぶ文法的な関係は主として語順に従います。それらが中国語は語順が文法の要とされる理由ですが、日本人は漢語を通じその要を知っているのです。
この5種の語順に中国語の文法が凝縮されているとなると、いかにも簡単明快に聞こえますが、実はそれぞれの語順のなかでは自由な結び付きが可能です。例えば求人・求職の2語は、日本語では人を求める・職を求めると読めるが、中国語では人に求める・職を求めるとなり、ともに動詞+賓語の語順でありながら、両者の文法的な関係は異なります。また、住人・死人はそれぞれ住んでいる人、死んだ人と読めそうだが、中国語では通常、人が住む、人が死ぬと読み、賓語の位置にある語が意味上の主体を表すことになります。動詞と賓語の2成分間の関係を示す外形的な標識は存在しません。普通は経験的に、動詞と賓語の語順には、賓語が動作・行為の受け手になるものばかりでなく、送り手になるものもあるし、さらに動作・行為に関連するものでなく、住人・死人の例では存在・出現・消滅するものを示すといった、意味的な関係による下位分類をして覚えます。